吉野熊野国立公園内の景勝地・瀞(どろ)八丁沿いに建つ奈良県十津川村の瀞ホテル(3階建て、県指定文化財)が約半年間の改修を終え22日、リニューアルオープンする。10年前の紀伊半島豪雨で被害を受け、喫茶だけの営業を続けているが、2階に新たに休憩室2室を設け、1日貸し出すサービスを始める。
4代目の経営者、東達也さん(40)は「宿泊再開へのステップにしたい」と話す。
瀞ホテルは三重、和歌山県境に近い十津川村の南端部に位置し、眼下には雄大な瀞八丁(北山川)の大峡谷が広がる。
大正6年に東さんの曾祖父が創業、多くの宿泊客が訪れていたが、平成16年に3代目の東さんの父親が死去後、一時、休館に。23年の紀伊半島豪雨では北山川が増水し、地階にあった風呂場や調理場が流される被害を受けた。その後、東さんが25年に喫茶だけで営業を再開した。
今回の改修は2階部分を中心に実施。土壁の塗り替えや書院障子(しょうじ)の新調、襖の張り替えを行ったほか、村の木材でソファやテーブルをつくり、Wi-Fi環境も整備。2
部屋の休憩室を完成させた。
部屋を拠点に瀞峡観光をしてもらったり、くつろいだりしてもらうのが目的。カヌーや、ボードに立ってパドルをこいで水面を進む「サップ(SUP)」の貸し出しも始める。部屋の利用時間は午前10時~午後4時、料金5500円、1日2家族まで(1人でも可)。食事は要予約。
東さんは「瀞八丁を見ながらリモートワークに利用してもらってもいい。今回は費用や期間の関係で、宿泊関連の改修はできなかったが、将来的には宿泊の再開をめざしたい」と話している。
問い合わせは瀞ホテル(0746・69・0003)。