【街行く路面電車】「水の都」は橋を渡って 広島電鉄 - 産経ニュース

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街行く路面電車

「水の都」は橋を渡って 広島電鉄

広島市中心部を走る被爆電車(右)と元京都市電の車両(左)=広島市中区
広島市中心部を走る被爆電車(右)と元京都市電の車両(左)=広島市中区

広島市は太田川が運んだ土砂で形成された三角州(デルタ)上にひろがる。市内に6つの大きな川が流れ70本を超える橋が架かる。交通の主役、広島電鉄(広電)も路線に7つの橋を持つ。いかにも「水の都」を走る路面電車だ。

太田川放水路に架かる橋を渡る広島電鉄の路面電車=広島市西区
太田川放水路に架かる橋を渡る広島電鉄の路面電車=広島市西区

JR広島駅前から路面電車に乗ると、すぐに被爆橋梁(きょうりょう)の荒神橋だ。原爆ドーム横の相生橋など次々に橋を渡り市中心部を行く。路面電車区間の終わりに近い新己斐(しんこい)橋は280メートルと路線最長だ。車窓からの眺めは、立ち並ぶビルから広々とした風景に変わり、車窓から川を下る風が吹き込んだ。

原爆ドーム前の相生橋を渡る路面電車=広島市中区
原爆ドーム前の相生橋を渡る路面電車=広島市中区

広電は全国の路面電車でも最多の車両数を誇る。新型車両も多いが、他地域で長く活躍した移籍車両などの旧型車両も現役だ。

26形式が在籍する広島電鉄。車庫には多様な車両が並ぶ=広島市中区
26形式が在籍する広島電鉄。車庫には多様な車両が並ぶ=広島市中区

旧型が多いのは昭和40~50年代に京阪神の市電が全廃され、約80両が広電に譲渡されたことに由来する。広電では、今も20両が現役。車両を見て「懐かしい」という声も多く、観光客に人気だ。

通勤ラッシュ時間帯に続行する車両。元神戸市電(手前)や元京都市電(2両目)など、昭和後期に広島に移籍した車両も現役だ=広島市中区
通勤ラッシュ時間帯に続行する車両。元神戸市電(手前)や元京都市電(2両目)など、昭和後期に広島に移籍した車両も現役だ=広島市中区

新たな計画もある。令和7年にJR広島駅ビル2階への路面電車の乗り入れや、広島駅付近の路線の新設などが予定されている。20年間、運転士だった川中豊紀(とよき)さん(52)は「コロナからの復活とともに広島駅が新しくなり、みなさんに笑顔で乗っていただきたい」と期待していた。

新路線の開通で、広島駅前の橋を車とともに路面電車が走る姿が見られるようになるという。水の都の新たな風景が楽しみだ。

織姫と彦星がデザインされた「七夕電車」
織姫と彦星がデザインされた「七夕電車」
「七夕電車」には沿線の園児が願いを書いた短冊が飾られている
「七夕電車」には沿線の園児が願いを書いた短冊が飾られている

(写真報道局 永田直也)

【沿革】広島市の繁華街・紙屋町を中心に、広島駅、広島港、宮島口などを結ぶ。車両数や乗車人員は全国最大。原爆投下から3日後に運行を再開し、復興のシンボルとして知られる

【開業】大正元年11月23日

【路線】8路線35・1キロ(うち市内線19キロ)

【車両】26形式 136両

【運賃】市内線主要区間190円

元京都市電車両の整備の様子
元京都市電車両の整備の様子
車庫で整備を受ける元京都市電の車両。昭和52年に移籍したことを表すプレートが設置されている =広島市中区
車庫で整備を受ける元京都市電の車両。昭和52年に移籍したことを表すプレートが設置されている =広島市中区
広島電鉄千田車庫に集結した(左から)元西鉄北九州市内線の602号、元神戸市電の582号、元大阪市電の762号、元京都市電の1906号、レトロ電車の101号、被爆電車の156号・653号=広島市中区
広島電鉄千田車庫に集結した(左から)元西鉄北九州市内線の602号、元神戸市電の582号、元大阪市電の762号、元京都市電の1906号、レトロ電車の101号、被爆電車の156号・653号=広島市中区