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コロナ禍でも…国境超えた国際教育活況 オンライン駆使「今後の進路考える機会に」

玉川大学の学生が、ワイオミングエリア小学校5年生の児童らに日本の小学校についてオンラインで授業をした(玉川大学提供)
玉川大学の学生が、ワイオミングエリア小学校5年生の児童らに日本の小学校についてオンラインで授業をした(玉川大学提供)

新型コロナウイルス感染拡大の影響で、海外への渡航制限が続くなか、国際教育に力を入れる大学の試行錯誤が続いている。留学制度や海外研修が中止となる一方、オンラインを駆使しながら、国境を超えた共同授業などが盛んになっている。気軽に参加できる交流プログラムなども増え、コロナ収束後を見据えた国際教育の裾野が広がっている。

米国小学校で授業体験

玉川大学(東京都町田市)の学生らが今年2月に〝オンライン訪問〟したのは、米ペンシルベニア州のワイオミングエリア小学校。5年生の授業体験に挑戦した。テーマは日本の学校。クイズ形式で、授業や通学の仕方、給食などについて紹介した。

授業体験は文学部英語教育学科、米田佐紀子教授の授業の一環として実施された。コロナ禍で留学などが中止となるなか、米ウィルクス大学教育学部と共同授業に取り組んできた。

学生らはオンライン講義を受け、児童とのコミュニケーションや教材の工夫など、日米両国の視点から小学校教育について検討した。米国の学生にとっても日米共同授業や授業体験は貴重な経験になったという。

玉川大国際教育センター長の大谷千恵教授は「思い描いた学びが難しいのは日本も海外も同じ。双方の大学が専門性の高い授業を提供したいという願いから実現につながった。本来であれば小学校訪問は時間も費用もかかるが、オンラインの効果で貴重な教育機会が得られた」と胸を張る。

同大では、理数系や芸術、ELF(共通語としての英語)などを融合するESTEAM(エスティーム)教育に力を入れている。情報通信技術(ICT)活用も進んでいたため、感染拡大と同時にオンライン国際教育「TAMAGO(タマゴ・玉川のグローバルな機会)」を充実させた。

アカデミックなプログラムだけではなく、米国の学生らと好きな本や映画について語り合うグローバルカフェや日本のビジネスマナーを学ぶ米国人学生のサポートなど、双方向の交流が続いている。

大谷教授は「留学を目指してきた学生が日本にいながら最大限の国際教育を受け、モチベーションを維持できる支援が必要。オンラインでは、『いきなり海外に飛び出す自信がない』という学生も気軽にプログラムに参加できる。コロナ後の学びや進路を考える機会になる」と指摘する。

海外インターンシップも

オンラインを活用した国際教育は、単なるコロナ対策ではなく、コロナ後の継続も視野に学びの一端として可能性を広げている。

明治学院大学(東京都港区)では、ハワイ大学マノア校と協同開講科目を設けた。同大では「米国の大学の授業に参加できる。チャレンジすることで英語力と国際コミュニケーション能力をアップさせるチャンスになる」としている。タイの学生との交流やカンボジアの子供たちの学習支援など、幅広い経験もできる。

また、立教大学(同豊島区)は外国人留学生と外国語で会話を楽しむ「ワールドカフェ」を開催。昨年4月から今年1月までに250回以上にわたり、延べ863人が参加している。

単位付与のあるオンライン短期語学研修も開講し、充実した語学学習ができるようになったほか、海外に拠点を置く企業でのオンライン海外インターンシップも始動した。今後は渡航制限の有無にかかわらず、正課科目として継続していく予定だという。

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