エネルギー基本計画素案「ミスリーディングな数字が多い」橘川武郎・国際大副学長

橘川武郎・国際大副学長
橘川武郎・国際大副学長

経済産業省は21日、国の中長期的なエネルギー政策の方向性を示すエネルギー基本計画の素案を有識者会議に示した。2030(令和12)年度の電源構成として太陽光など再生可能エネルギーの大量導入などを掲げた野心的な目標を掲げた内容について、専門家の話を聞いた。

橘川武郎国際大副学長(エネルギー産業論)の話

全体的に無理のある数字が並んでおり、示された30年度のエネルギーミックス(電源構成)達成は非常に厳しいだろう。特に原子力の目標値が据え置かれた中で、原発のリプレース(建て替え)を盛り込むことを先延ばしにしたのは影響が大きい。長期的に原発を推進するとの政府方針が明確にならず、再稼働に向けて地元に理解を求めづらくなる。最終的に再生エネルギーと原子力を合わせた目標値は15%ほど未達になるだろう。結局は火力を使わざるを得なくなり、国費で排出権を購入することにもなりかねない。

そのほか、液化天然ガス(LNG)火力の目標を大幅減の20%としたが、これでは産出国に「今後は買わなくなる」と誤解される。中国や韓国など他の輸入国に比べ、悪い購入条件を突きつけられる恐れが出てくる。石炭なども同様でミスリーディングな数値が並んでおり、調達にも影響が出てくるかもしれない。

そもそも「野心的」との言葉が多く出てくるが、それは「非現実的」という意味に近く、達成できなくても誰も責任を取らないということ。50年に向けて取り組みを進めるにあたり、30年度のミックスなんて作らない方がよかったのではないか。