大森由紀子のスイーツの世界

フランスで作り継がれるお菓子

フランスのお菓子「サントノレ」
フランスのお菓子「サントノレ」

前回は、フランス革命の影響で行き場をなくした宮廷の菓子職人たちが、町に出て自身の店を開いたというお話をしました。なかには今でもパリに現存し、開店当初からのお菓子を今も作り継ぐお店も少なくありません。

例えば、有名店「ダロワイヨ」は、フランス王妃マリー・アントワネットに仕えた職人を祖先に持つパティシエが開きました。この店の銘菓はオペラというチョコレートケーキ。これは絢爛豪華(けんらんごうか)なオペラ座をイメージし、オペラ座の屋根にそびえたつ金のアポロン像を表す金箔(きんぱく)を施して、1955年に考案されました。

また、ルイ16世に仕えていた薬剤師、ドゥボーヴは、おいのガレとともにパリのサンジェルマン地区にチョコレート店を開店しました。なぜ薬剤師がチョコレートなのかというと、当時チョコレートは疲労回復の薬とみなされており、その管理は薬剤師が任されていたからです。その店「ドゥボーヴ・エ・ガレ」は、今でもサンジェルマン教会のそばにあります。

その後もパリの菓子職人たちは競ってさまざまなお菓子を創作していきます。そうしてできたお菓子の中でも有名なのが、サントノレです。サントノレ通りにあった「シブースト」という店で働いていたジュリアン三兄弟のうち、次男のオーギュストが通りの名にちなんだ「サントノレ」を考案しました。これはパイ生地とキャラメルがけしたシュー、そしてクリームという構成のお菓子です。

おおもり・ゆきこ フランス菓子・料理研究家。「スイーツ甲子園」(主催・産経新聞社、特別協賛・貝印)アドバイザー