「メダル獲得目指したい」 和歌山市出身のセーリング・畑山絵里選手

神奈川県沖で船体を操る畑山絵里さん(右、エス・ピー・ネットワーク提供)
神奈川県沖で船体を操る畑山絵里さん(右、エス・ピー・ネットワーク提供)

23日開幕の東京五輪で、セーリングの男女混合種目「ナクラ17級」に和歌山市出身の畑山(はたやま)絵里さん(29)=エス・ピー・ネットワーク所属=が出場する。セーリングは高校時代、和歌山の海で始めた競技で、「故郷の期待も胸にメダル獲得を目指したい」と決意を語る。

セーリングを始めたのは和歌山県立星林高校2年の時だった。ヨット部の顧問に誘われた。和歌山マリーナシティ近海で乗船したが、最初は連日船酔いに苦しんだ。それでも「他人と違ったことをするのが好き」と、日本ではマイナーとされるヨット競技を継続した。

その後は練習を重ね技術も上達。「技術を習得して少しでも早く走らせたい」と、卒業後はヨットの強豪として知られる日本経済大学(福岡県)に進学した。

 畑山絵里さん(エス・ピー・ネットワーク提供)
畑山絵里さん(エス・ピー・ネットワーク提供)

当初は「470級」で五輪を目指したが、前回リオデジャネイロ五輪で公式種目に採用された男女混合種目「ナクラ17級」に転向した。

ナクラ17級は2人乗り。2船体で構成され、スピードに乗ると水面を飛ぶように滑走し、時速50キロにも達する。大学の先輩、飯束潮吹(しぶき)さん(32)とペアを組んでいる。

「当初はコーチが見つからず、インターネット動画を参考に(ナクラ17級の)海外選手の操作技術を研究しました」と振り返る。

昨年2月に東京五輪の代表に選ばれた。新型コロナウイルスの影響で五輪は1年延期されたが、「世界レベルの選手たちの技術、体力に少しでも近づける練習時間が確保できた」と前向きにとらえた。

スイス代表で五輪に出場した経験もあるコーチの下で、トレーニングを積んできた。

「風を読む力が備わり、ヨットを最速で走らせ、そのままスピードを維持できるようになった」

今は神奈川県逗子市に在住しており、新型コロナの影響で満足に練習できなかった時期は、ロードバイクで三浦半島を一周し、基礎体力維持に努めた。「晴れた穏やかな海岸線は、紀南地方を疾走しているようで気分転換にもなりました」と笑顔をみせる。

ナクラ17級は28、29、31日と8月1、3日の予定。

五輪出場の舞台となる神奈川県藤沢市の江の島ヨットハーバー沖について「普段練習している優位性はあるが、波やうねりが高くなれば一気に高度な技術力が必要な難コースになる」と気を引き締める。一方で、「まずは決勝まで残るのが目標。得意の強風が背中を押してくれれば」とメダル獲得に意欲をみせる。(西家尚彦)

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