「恐怖の用水路」からの生還 小1男児を救った女子大生(1/2ページ) - 産経ニュース

メインコンテンツ

「恐怖の用水路」からの生還 小1男児を救った女子大生

転落した小1男子児童の救助し、岡山中央署から感謝状を受け取った河原亜優さん(左)と三木果南実さん=7月15日午前10時7分、岡山市中区
転落した小1男子児童の救助し、岡山中央署から感謝状を受け取った河原亜優さん(左)と三木果南実さん=7月15日午前10時7分、岡山市中区

岡山県で用水路に転落する事故が後を絶たない。平成25年の小学生転落事故をきっかけに「恐怖の用水路」として全国的に注目され、直近4年間で県内の転落事故による死者は72人にのぼる。昨年3月、県は転落対策のガイドラインを策定したが、先月下旬には倉敷市で男性が転落死する事故が発生。今月にも男子児童が用水路に転落する事故があったが、このときは近くにいた女子大学生たちが、力をあわせて救出。一命をとりとめた。

用水路脇の道路を通り登校する児童ら=岡山市北区
用水路脇の道路を通り登校する児童ら=岡山市北区
水深15センチで溺死

6月25日午後5時55分ごろ、岡山県倉敷市内の路上から「人が用水路に転落している」と110番があった。転落していた男性は、病院に搬送されたが搬送先の病院で死亡が確認された。

岡山県警玉島署によると、死亡したのは約3キロ離れた場所に住む70代の男性。自転車で通行中に誤って道路脇の用水路(幅約1・5メートル、水深15センチ)に転落したとみられる。男性は1人暮らしだったため、通行目的はわかっていない。

事故当時、現場付近は草が茂っており、用水路自体が見えにくくなっていた。事故後、草が刈り取られ、県によって反射板が建てられた。

付近に住む70代の女性は「あの用水路に転落した人はこれまで聞いたことがなかった。用水路があることを知らず、転落したのかもしれない」と話す。

うつぶせで下流に60メートル

7月に入っても転落事故は続いた。7日午後5時40分ごろ、岡山市中区の公園脇の用水路で子供たちが騒いでいるのを、近くでキャッチボールをしていた女子大学生2人が気づいた。

2人が駆け寄ると小学1年の男子児童(6)が流されていた。男子児童はうつぶせ状態で約60メートル下流へと流されたが女子大学生2人が力を合わせて引き上げ、背中をたたき、水を吐かせるなどの救助措置を行った。

自転車に乗った小学1年の男子児童が転宅した公園脇の用水路。児童は約60メートル下流へと流された=岡山市中区(高田祐樹撮影)
自転車に乗った小学1年の男子児童が転宅した公園脇の用水路。児童は約60メートル下流へと流された=岡山市中区(高田祐樹撮影)

病院に搬送された男子児童は当初、意識が混濁していたが回復。翌日に退院したという。

同県警岡山中央署によると、当日市内では雨が降っていたため用水路(幅約4メートル、水深約70センチ)の水の流れが速くなっていたという。友達2人と遊んでいた男子児童は自転車ごと用水路に転落し、流されたとみられる。

男子児童を救助したのは、ともに環太平洋大学(岡山市)の1年生、ソフトボール部の河原亜優さん(19)と三木果南実さん(18)。同署から感謝状が贈られた。

当時の状況について、三木さんは「流されているのを見て、とっさに体が動いた」と話す。河原さんは「引き上げたとき、男の子は意識がない様子だったが、翌日退院したと聞いて安心した」と話した。

同署の山下健司副署長は「本当に危機一髪の事故だった。救助が少しでも遅れていたら、最悪の事態もあった」と胸をなでおろしていた。

全国平均の5倍

降水量が少なく、「晴れの国」ともいわれる岡山県では、特に県南部では歴史的に農業用水路が発達している。

岡山市や倉敷市では用水路密度(1平方キロメートルあたりの水路延長)が全国平均(1・06キロ)の約5倍(岡山5・06キロ、倉敷5・92キロ)となっているという。

岡山の用水路が注目されるきっかけになったのは、平成25年8月、自転車に乗った小学生が転落防止措置のない用水路に転落し、頭を強く打ち重体となった事故だ。