ここ数週間、学校が思わぬ角度から注目を集めています。採用、研修といった問題にスポットライトが浴びせられているようです。注目の視点は「教員の免許更新制の是非」と「採用試験の倍率低下」といった、「いまの教師の力量はどうなんだ」という視点からです。本稿では「免許更新」について、教員免許更新講習の講師を務めている筆者の経験から考えたことを述べてみましょう。
「免許更新」というと「自動車運転免許」の更新を思い浮かべる方も多いと思いますが、その「教員免許版」と考えてもいいものです。つまり、10年に一度、30時間の講習を受けて、更新しておかないと、教壇に立つことができないという制度です。
教員免許更新制の歴史に注目すると、その源流は、中曽根康弘首相(当時)直属の審議機関、臨時教育審議会(昭和59~62年)での「問題教員対策」議論までさかのぼることができます。結局は答申に盛り込まれませんでしたが、平成になってもずっと「学校の宿題」としてくすぶっていました。それが表に出たのが、森喜朗首相(当時)の私的諮問機関だった教育改革国民会議です。平成12年12月の最終報告に「免許更新制の可能性を検討する」ことが盛り込まれました。早速、13年4月、町村信孝文科相(同)が中央教育審議会(中教審)に、更新制の検討を含めた教員養成・免許制度のあり方を諮問したのですが、中教審は14年2月の答申で、導入には「なお慎重にならざるを得ない」と結論づけました。代わりに「指導力不足教員」対策を強化するとともに、教職に就いてから10年目の研修を義務づける「10年経験者研修」(10年研)を導入しました。