ALS嘱託殺人事件から1年 詳しい動機や経緯は不明 法廷での真相解明に期待 - 産経ニュース

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ALS嘱託殺人事件から1年 詳しい動機や経緯は不明 法廷での真相解明に期待

山本直樹(左、ツイッターから)と大久保愉一(クリニックのホームページから)の両被告
山本直樹(左、ツイッターから)と大久保愉一(クリニックのホームページから)の両被告

難病のALS(筋萎縮性側索硬化症)の女性患者=当時(51)=に薬剤を投与し殺害した嘱託殺人事件は、医師2人が逮捕されて23日で1年となる。この間、2人は10年前に医師の父親を殺害したとされる「遺体なき殺人」にも関与した疑いが浮上し再逮捕、追起訴された。捜査当局は2人の認否を明らかにしていないが、2つの事件は医師の立場や知識を悪用したとの共通点もあり、法廷での真相究明が期待される。

事件は令和元年11月に発生。大久保愉一(よしかず)(43)と山本直樹(44)の両被告はALSで寝たきり状態の女性=京都市=に依頼され、女性宅で胃瘻(いろう)から薬物を注入。女性は約2時間半後に、急性薬物中毒により死亡した。

捜査関係者によると、2人は偽名で女性宅を訪問。ヘルパーを遠ざけた十数分の間に薬物を投与したとされる。捜査関係者は「2人の行為がなければ亡くなる状態ではなく、安楽死ではなく医師の立場を悪用した事件だ」と指摘する。

その後、事件は新たな局面を迎える。捜査の過程で山本被告の父親の殺害に関わった容疑が浮上した。父親の遺体は司法解剖されずに火葬されていたが、捜査関係者によると、京都府警は嘱託殺人事件で押収したパソコンから両被告が父親の死亡約1カ月前から火葬や死亡診断書作成についてメールを交わしていた形跡を発見した。死亡診断書は一般的に医師が作成する。

今後開かれる公判では、2人の役割や動機が主な争点になりそう。京都地裁は6月、嘱託殺人事件の争点を絞り込む公判前整理手続きに殺人罪も併合して進めることを決めた。嘱託殺人罪は裁判員裁判の対象外だが、殺人罪は対象で、事件が一括して裁判員裁判で審理される可能性がある。