「薬飲まされた」とLINEでSOS 密室の覚醒剤死事件 20日判決、証拠どう評価

豪邸に暮らす男は、40歳以上も年下の女性に覚醒剤入りの酒を飲ませ、死に至らしめたのか-。こんな点が争われた裁判員裁判の判決が20日、東京地裁で言い渡される。「(薬物を)気づかずに飲まされた」。被害女性は友人にLINE(ライン)でメッセージを送っていたが、被告の男は「女性が自分で覚醒剤を摂取した」と一貫して無罪を主張している。目撃者はおらず、間接証拠をどう評価するかがポイントになる。(塔野岡剛)

28畳の洋室で…

傷害致死罪などに問われた男は会社役員、石原信明被告(72)。起訴状などによると平成30年7月22日、デートクラブで出会った知人女性=当時(28)=に自宅で多量の覚醒剤を混ぜた日本酒を飲ませ、急性覚醒剤中毒で死亡させたとしている。

被告の自宅は東京都渋谷区の閑静な住宅街にある。地上3階地下1階の鉄筋コンクリート造の一戸建てで、義理の妹と同居していた。事件現場は3階にある約28畳の洋室。事件当時、義理の妹は外出中で、女性と部屋に2人きりだった。

検察側は公判で、女性が直前までラインで連絡を取っていた友人とのメッセージ内容を明かした。事件当日の午後1時過ぎ、女性は「今、コカインを勧められてる」とメッセージを送信。その後も警察に通報すべきかなどと相談していた。「一度だけ電話がつながると(女性は)『日本酒にコカインを混ぜられて気づかずに飲んでしまった』と小声で話した」。友人は法廷で、こう証言した。

119番通報をする直前に石原被告から連絡を受けた知人の供述調書によると、被告は薬物の隠語を使い「使ったら女の子がおかしくなっちゃって」と話したという。司法解剖を担当した医師は証人尋問で「遺体からは多量の覚醒剤の成分が検出された。被告宅に到着してから遅くとも約6時間後には死亡していたと推定される」と証言した。

論告で検察側は、石原被告の自宅から押収したおちょこから、覚醒剤の成分を検出したと指摘した。被告の毛髪からも覚醒剤の成分が検出され、「常習性もうかがえる」とした上で「覚醒剤を勧めたが女性に拒否され、日本酒に入れて摂取させた」と主張。「卑劣で悪質な犯行。公判でも不合理な弁解をしており、反省もない」として、懲役10年を求刑した。

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