大量死を招いた動物園 5年で47匹の衝撃(1/2ページ) - 産経ニュース

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大量死を招いた動物園 5年で47匹の衝撃

たつの市立龍野公園動物園で飼育されているヤギとエサを与える来園者=兵庫県たつの市
たつの市立龍野公園動物園で飼育されているヤギとエサを与える来園者=兵庫県たつの市

飼育動物の1割前後が毎年、死ぬ動物園-。明らかに「異常な死亡率」といわれる施設が、兵庫県西部に存在する。同県たつの市立龍野公園動物園がそれだ。年中無休・24時間開いていて、しかも無料というのが売りだが、夕方以降は無人に。過去5年の間にサルやヤギなど動物47匹が相次いで死んでおり、別の動物園や市民団体からは「動物のストレスがはかり知れない」と飼育・管理の体制に批判が上がっている。

地元の「憩いの場」
たつの市立龍野公園動物園=兵庫県たつの市
たつの市立龍野公園動物園=兵庫県たつの市

同園は昭和29年、「大人から子供までいつでも楽しめる動物園」という触れ込みで開園した。約7500平方メートルの敷地に、他の動物園や県内の牧場から無償譲渡されたツキノワグマ、クジャク、サルなど現在13種類73匹が飼育されている。

休日になれば動物に餌をやったり、園内を散策したりする家族連れの姿もみられ、ニーズのない不人気施設というわけではない。独特のレトロな雰囲気も相まって、最盛期の平成21年度には約4万人が訪れ、今でも付近の住民にとっては「憩いの場」として定着しているという。

動物たちの異変
たつの市立龍野公園動物園で飼育されているクジャク(龍野公園動物園を考える会提供)
たつの市立龍野公園動物園で飼育されているクジャク(龍野公園動物園を考える会提供)

しかしここ数年、動物たちに異変が起きている。

やせ細ったヤギ、くちばしで自ら羽をむしる〝自傷行為〟を繰り返すクジャク、体の一部に奇形があるカニクイザル…。素人目にも明らかな異常が目撃されるようになっているのだ。

こうした園の状況を問題視する市民団体「龍野公園動物園を考える会」では、飼育動物の現状をとらえた写真をSNSに投稿し、閉園すべきだと訴えてきた。団体代表の女性(31)は「子供と動物園に行ったとき、ひどくやせたヤギがいた。『どうしてなの?』と涙を浮かべる子供を見て、こんな悲惨な状況を放置してはいけないと思った」と明かす。

たつの市立龍野公園動物園で飼育されているヒツジ=兵庫県たつの市
たつの市立龍野公園動物園で飼育されているヒツジ=兵庫県たつの市

動物園を管理するたつの市都市計画課によると、昨年までの5年間で死んだ動物47匹の内訳は、カニクイザル13匹▽モルモット9匹▽ヤギ4匹▽アイガモ4羽▽クジャク、カルガモ、ガチョウ各3羽▽その他8匹。このうち17匹が老衰によるものだが、残る大半の死因は不明という。

飼育動物が死ぬ割合は毎年10%前後で、13%に達した年も。別の動物園の飼育担当者は、動物の種類によって寿命が違うため一概に比較できないとしつつ、「うちの園で飼育しているサルはここ数年、1匹も死んでいない。明らかに異常な数字だと思う」と証言する。

たつの市都市計画課の担当者は「異変が見られた動物はその都度、獣医師や専門家に診てもらっている」と釈明するが、動物の採血などはしておらず、診察は目視にとどまっていた。

獣医師不在、夜間無人

そもそも同園には常勤の獣医師など専門知識を持つスタッフがおらず、常勤しているのは市職員3人とシルバー人材センターから派遣された3人の計6人のみ。この人数でシフトを組んで餌やりや清掃を行っており、1日あたりの飼育員は2、3人だ。

また令和元年までは土日の出勤者はゼロで、餌は自動給餌機から日に1度、一定量が配給されるのみ。最近死んだサルの中には、死因が栄養失調と特定された個体もいた。