体操ニッポン新時代の幕開け 新エース誕生予感 男子団体は粒ぞろい 田中和仁氏が期待

2012年ロンドン五輪体操男子団体総合銀メダリスト・田中和仁氏(本人提供)
2012年ロンドン五輪体操男子団体総合銀メダリスト・田中和仁氏(本人提供)

東京五輪の体操男子は開会式翌日の24日から予選が始まる。大会中、本紙で解説を務める2012年ロンドン五輪団体総合銀メダルの田中和仁氏に見どころを語ってもらった。(宝田将志)

日本の男子団体はバランスの良い、穴のないチームになっている。萱和磨(セントラルスポーツ)は国内選考会だけでなく、事前合宿の試技会でも非常に安定感がある。どの種目も、ミスを避けたい1番手を任せられる存在だ。北園丈琉(徳洲会)は4月の全日本選手権で右肘を痛めてしまったが、そこから見せた〝強さ〟は素晴らしかった。橋本大輝(順大)と谷川航(セントラルスポーツ)は試技会で88点台の高得点をマークしていて頼もしい。個人総合に出場できるのは各国・地域2人までだが、日本からは誰が出るか分からないほど、粒がそろっている。

16年リオデジャネイロ五輪はロンドン五輪から私が抜けて白井健三が入ったチームで、ロンドンの「リベンジ」という色合いが強かった。しかし、今回は全員が五輪初出場。リオ五輪に続く団体2連覇への挑戦ではあるものの、体操ニッポンの新たな時代の幕開けという感じがする。若い勢いを存分に発揮してほしい。この五輪で日本の新エースが生まれるかもしれないと思うと非常に楽しみだ。

日本の予選は2班で、午後2時半に平行棒からスタート。普段、練習している時間帯なので体は動かしやすいし、平行棒は、みんな得意としているので気持ちよく試合に入っていけると思う。最終種目になる跳馬は、4人とも高難度の技を用意しているので、どれだけパワーが残っているかがポイントになるだろう。

今回のメンバーは床運動から始まる正ローテーションだと、後半種目(跳馬、平行棒、鉄棒)で点数を伸ばせる。決勝を戦いやすい正ローレーションで臨むために、予選を1位か2位で通過できると良い。

ライバルとなるロシアと中国は予選1班で、後に演技する日本は、その演技と比較されることになる。新型コロナウイルス禍で世界大会が久しぶりなこともあり、どんな点数の出方になるか気になるところだ。

個人枠で出場する鉄棒の内村航平(ジョイカル)はDスコア(演技価値点)も高く、自分の演技をすれば点数は出る。H難度の離れ技「ブレトシュナイダー(コバチ2回ひねり)」を昨季から演技に入れ始め、当初は演技終盤の「ホップターン(後方とび車輪1回ひねり)」の体の角度が流れていた。余裕がなかったのだと思う。しかし、演技を通すことに慣れてきてからは、その角度がはまるようになってきた。ブレトシュナイダーの高さも増しているように見える。個人総合であれだけ結果を残した選手が種目別で出場してくることを、世界の体操ファンが楽しみにしている。

もう1人、個人枠のあん馬で出場するのが亀山耕平(徳洲会)。最近、国内大会で結果を残せていないので、「なぜ亀山が代表なのか」と思う人がいるかもしれないが、選考ルールにのっとって、2年以上前から種目別ワールドカップ(W杯)を戦い、出場権を勝ち取った選手だ。体育館を離れても競技のことを考えるくらい体操に打ち込んでいる。自分の演技に集中して、持てる力を出し切ってほしい。


田中和仁 1985年5月16日生まれ、和歌山県出身。ロンドン五輪団体総合銀メダル、世界選手権は団体で銀メダル2つ、種目別平行棒で銅メダルを獲得。今年3月、コーチを務めていた徳洲会を離れ、現在は体操教室などで指導、普及活動をしている。

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