書評

『誰があなたを護るのか 不安の時代の皇(すめらぎ)』青山繁晴原作、ヒロカネプロダクション作画 女系と女性の違い、漫画で

『誰があなたを護るのか 不安の時代の皇(すめらぎ)』
『誰があなたを護るのか 不安の時代の皇(すめらぎ)』

現在、次世代の皇位継承者が悠仁親王殿下お一人しかいない実情に鑑み、皇位の安定的な継承を図っていくという観点から、政府で有識者会議を設置して検討を進めている。世論調査では女性天皇、女性宮家、女系継承に賛同する向きが多く、「愛子天皇」という意見もあるが、違和感を覚える人も多い。

この問題については、日本の歴史や皇室の伝統を踏まえた確固たる基盤の上に立って考えることが必要である。

本書は、義務教育では十分教えない天皇制や皇位継承問題について、若者向けの漫画編と、より深く知りたい読者に配慮した詳細な解説編で構成。

漫画編の主人公は歴史好きな女子高生・永峯あかり。不思議な図書館司書、紀(のり)に導かれてタイムワープして、民を思う第16代仁徳天皇のお姿を間近に見たり、古代の女性天皇たちの思いを聞くなど、天皇制の歴史と意義に触れる。

このような探究によって、天皇は国民の幸せを常に祈り、国民とともに長い歴史を歩んできたこと、そして、日本という国の根幹には、天皇がいらっしゃるということを理解する。

また、天皇は、初代の神武天皇から第126代となる天皇陛下まで例外なく男系継承でつながってきているという皇室の重要な伝統について学ぶ。歴史上、8人10代の女性天皇がいるが、いずれも男系であり、男系男子の天皇への中継ぎであったことや女性天皇と女系天皇の違いについても理解する。

その上で、あかりは女系継承を認めた場合、王朝が変わってしまい、日本の根幹が崩れてしまうとの危惧を抱く。そして歴史上、男系継承の危機は何度もあったが、その都度、先人たちの知恵と努力によって乗り越えてきたことを、古墳時代の第26代継体天皇(応神天皇の五世孫)の例などから知り、今後いかに男系継承を安定的に進めていくかの解決案にたどり着く。

本書は「日本人の根っこ」である天皇の存在を守ろうという原作者の熱意と、漫画家、弘兼憲史さんとヒロカネプロダクションの協力で生まれた。天皇制の意義と皇位継承のあり方について、歴史を俯瞰(ふかん)し、皇室の伝統を尊重しつつ、読者が考えていく上でお薦めの好著である。(扶桑社・1760円)

評・竹元正美(国際文化教育協会理事長)

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