五輪期間中テレワーク微増 中小企業「五輪でも働き方変えられない」

ダイニングテーブルの上にノートPCを広げて仕事をする男性。在宅勤務制度を活用している
ダイニングテーブルの上にノートPCを広げて仕事をする男性。在宅勤務制度を活用している

東京五輪・パラリンピックの大会期間中、混雑緩和などのためのテレワーク対応に企業が苦慮している。政府の調査ではテレワークによる出勤者の削減は、微増にとどまる見通し。中小企業などからは「五輪があるからといって働き方を変えられない」との声が上がっている。

政府が経団連の会員企業を対象に調査したところ、回答のあった340社で、社会生活維持に必要な仕事に従事する「エッセンシャルワーカー」を除く従業員の出勤削減割合は最大で59%と、現状の57%から微増にとどまった。政府の担当者は「例年より休暇も多く取得される見込みで出勤者数は小さくなる」と話すが、多くの企業が対応しきれていない現状が浮き彫りになった。

政府は、交通混雑の緩和や新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、大会期間を含めた19日から9月5日までの7週間を「テレワーク・デイズ」と定めている。約800の企業や自治体が参加を表明しており、政府は3千社まで拡大させる目標だ。

ただ、主に中小企業には、テレワークのシステムや労務管理などの導入は進んでいないのが現状だ。「大会期間中だけ集中的に対応するのも難しい」と消極的な姿勢が目立つ。NTT東日本などによると「テレワークシステムの需要は根強いが、五輪対応のための引き合いはほとんどない」という。

同社は中小企業向けに既存のパソコンやスマートフォンでも対応できるテレワーク支援サービスなどを開始しており、「システムの運用も一体となって支援する必要がある」と指摘する。武田良太総務相は16日の閣議後の記者会見で「地方でも一層広がるよう、支援策の情報発信を強化したい。期間中は総務省でも積極的に取り組む」と述べた。

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