山形の五輪ホストタウンを支えるブルガリア人女性

園児一人一人に丁寧に教えるアントアネタ・ヴィターレさん=山形県村山市の冨本認定こども園(柏崎幸三撮影)
園児一人一人に丁寧に教えるアントアネタ・ヴィターレさん=山形県村山市の冨本認定こども園(柏崎幸三撮影)

東京五輪に参加するブルガリア新体操チームの事前合宿が23日から始まる山形県村山市。この合宿と国際交流を支える一人の女性がいる。ブルガリア出身で市の東京オリンピック・パラリンピック交流課職員、アントアネタ・ヴィターレさん(45)だ。

五輪とバラの縁

「もっと前へ、もっと前へ」「そう、ハイッ」

小気味よい声に誘われるように園児たちが手具を動かす。山形県中央部、村山市の認定こども園。週に1度、ヴィターレさんの声が響く。意識すべき要点を簡単な日本語で示しながら、子供たち一人一人に寄り添うように指導する。彼女の指導によって、市内の「新体操人口」は8人から50人へ急増した。

市内でたった一人のブルガリア人。人口2万3000人の街とをつないだ縁は「五輪とバラ」だった。

村山市は、市の花がブルガリアの国花と同じバラで、市内に新体操の盛んな中学校があったことから、国のホストタウン事業に申請。平成28年12月、ブルガリアのホストタウンとして登録された。

翌29年から新体操チームの事前合宿を3年続けて受け入れ。令和元年には市が新体操教室を始めた。2年がかりで探した指導者が、ヴィターレさんだった。

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