政治月旦

中国共産党100年「祝意」に募る不安

中国共産党創建100年の祝賀大会で、国旗や党旗を振る参加者=1日、北京の天安門広場(共同)
中国共産党創建100年の祝賀大会で、国旗や党旗を振る参加者=1日、北京の天安門広場(共同)

7月1日の中国共産党創建100年の節目に際しては、日本の主要政党がこぞって祝意を寄せた。自民党は二階俊博幹事長名で「電報」を送った。二階氏といえば、習近平国家主席(中国共産党総書記)とも会談を重ねた政界を代表する親中派である。

幹事長の肩書でメッセージを出した以上、総裁に代わる政権与党のトップとして祝意を示したのであり、その意味は大きい。内容は公開されていないが、日中友好のほかアジアの平和と安定などをうたったものだった。

公明党の山口那津男代表は中国共産党をもろ手を挙げて称賛した。記者団に対し「一つの政党で100年を迎えること自体、なかなかないことだ」と持ち上げていた。来年7月には日本最古の政党・日本共産党も創設100年を迎えるが、その時にはこちらにも賛辞を贈るのだろうか。

公明党のメッセージに、軍拡、人権侵害といった中国の横暴への言及などはなかったという。山口氏は礼賛の言葉を重ね、「なお一層世界の平和と発展、安定のために力を尽くしていただきたい」と結んだが、本音なのか嫌みなのか。悪い冗談のようだ。

日本共産党は今回、中国共産党からメッセージを求められず、送りもしなかった。志位和夫委員長は1日、中国の覇権主義的行動や香港、ウイグルでの自由の抑圧、人権侵害に触れた上で「社会主義とは無縁であり、共産党の名に値しない」と切り捨てた。

日中の共産党は1919年に革命後のロシアで結成された共産主義インターナショナルの中国支部、日本支部としてそれぞれ発足した。世界革命の実現の一翼を担う兄弟のような関係だったが、ずいぶんと突き放したコメントである。

むろん、志位氏の発言内容自体は正論に聞こえる。そこまで言うのであれば、98年7月、当時の不破哲三委員長が訪中して32年ぶりに和解した中国共産党と再び絶縁すればいいとも思うが、そこまで踏み切ることはしていない。この和解は、かつての毛沢東による日本共産党批判について、中国共産党が「真剣な総括と是正」を表明したことで実現した。

中国共産党は9年前の日本共産党創設90周年の際に「お祝いメッセージ」を寄せている。「98年の両党関係正常化以来、双方の交流と協力はたえず深まり、切り開かれ、新しい歴史的段階に入っています」といった内容だった。日本共産党の機関紙「しんぶん赤旗」のホームページは現在もそのメッセージを掲載しているが、「歓迎すべきメッセージ」ということなのだろうか。

中国を無批判で称賛する公明党とは異なり、自民党には中国非難の国会決議を求める動きもあった。だが、結果的に国会決議は先送りされ、対中非難はポーズだけだったという印象も受ける。立法府として十分な国際感覚を持ち合わせているのだろうか。そう疑問を抱かざるを得ないのだが、こればかりを責め立てても事は足りない。

「対中包囲網なんかつくらない」と公言する菅義偉首相が政権を率いている。その対中姿勢が問われる事態が相次いでいるのだ。最近、それを象徴するかのように、中国による台湾有事をめぐる二重基準が表面化した。

麻生太郎副総理兼財務相が5日の講演で、「台湾で大きな問題が起きれば存立危機事態に関係すると言ってもおかしくない。日米で台湾を防衛しなければならない」と述べた。

目と鼻の先の台湾での有事は、日本の存立危機に直結する日本の有事だ。麻生氏の発言は至極まっとうな指摘であり、国民の命を守るため、政権として真剣に対処方法を考えておかなければならない。

ところが、麻生氏の発言を受けて加藤勝信官房長官は6日の記者会見で「仮定の問題であり、直接の答えは差し控えたい」と述べた。もとより、中国との衝突を前提として、その対応を事細かに、あからさまに述べることまでは求めない。

だが、考える必要はないと受け取れるような姿勢で、日本の安全を任せておいて大丈夫なのかと疑念をかき立てられた。

この加藤氏の発言に大きく異を唱える議員も見当たらない。それが今の自民党の実態でもある。(政治部次長 酒井充)