日本や米国、中国など21カ国・地域が参加するアジア太平洋経済協力会議(APEC)は16日夜、オンライン形式で非公式首脳会議を開いた。バイデン米大統領と中国の習近平国家主席も出席。習氏は米国が対中圧力を強めていることを念頭に「われわれはデカップリング(切り離し)をすべきではない」と主張した。中国外務省が発表した。
首脳会議は議長国、ニュージーランドのアーダン首相の呼び掛けで開催。新型コロナウイルス対策が議題となり、「ワクチン外交」で影響力拡大を図る中国と、ワクチン供与を通じてインド太平洋への関与強化を狙う米国が対峙(たいじ)する形に。習氏は、途上国の新型コロナ対策などを後押しするため3年間で30億ドル(約3300億円)の国際援助を実施すると表明した。
日本からは菅義偉(すが・よしひで)首相が参加し、東京五輪について「世界が新型コロナに直面する今だからこそ、団結し、人類の努力と英知によって難局を乗り越えていけることを世界に向けて発進していきたい」と訴え、複数の首脳が支持した。
会議では「安全かつ品質が保証された安価なワクチンへの公平なアクセスを促進することによってのみ、この緊急事態を克服することができる」との声明を採択。声明は「ワクチン製造と供給を拡大するための努力を倍加させる。相互に合意した条件で製造技術の移転を奨励する」とし、APEC域内でワクチン製造能力を高める方針を示した。(田村龍彦、シンガポール 森浩、北京 三塚聖平)