【生き物好〝紀〟心】探せ! 和歌山の青いサワガニ 衝撃…「赤色」との出会い - 産経ニュース

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生き物好〝紀〟心

探せ! 和歌山の青いサワガニ 衝撃…「赤色」との出会い

和歌山県内の川で見つけた赤いサワガニ(国島大河学芸員提供)
和歌山県内の川で見つけた赤いサワガニ(国島大河学芸員提供)

今回は、川や山で遊んだことのある人なら一度は見たことがあるサワガニを取り上げます。皆さんは「サワガニ」と聞いて何色を思い浮かべますか? 和歌山県在住の方なら、きっと茶色か赤色でしょう。特に紀南では赤色が多く、その色彩から「ヒメガニ」と呼ばれ、親しまれています。しかし、3年前に私が県内に赴任して初めて赤いサワガニを見たときはとても驚きました。というのも、自身が幼少期を過ごした神奈川県小田原市の海沿いでは、サワガニといえば甲羅が青いものだったからです。

赤いサワガニを見た際、初めて「サワガニには体の色が違うものがいる」ことを知り、なぜこれだけ違うのか不思議に思いました。そこで、さまざまな文献を調べてみると、面白いことが分かってきたのです。

まず、青いサワガニは関東周辺や四国の一部、九州周辺にしかいないとみられること。青く見える理由は、アスタキサンチンという赤い色素がないため。ちなみに、エビ類やカニ類をゆでると赤くなるのはこの色素によるものです。どうやら、遺伝的な違いが体の色にも関係していそうだということも分かりました。

しかし、調べられたのはいずれも1990年代で、最近本格的に研究をしている人はいないというのが実情でした。

その後、がぜん興味がわいてきた中で見つけたのが「サワガニ〝青〟の謎」(平成29年)という書籍。高知県の仁淀川で活動する方々が、四国でサワガニについて調べた結果をまとめたものらしく、「これは読まねば…」とさっそく購入しました。

本を開くと、何と四国全土にわたってサワガニの色を調べた地図が同封されていました。この資料によると、地域によって体の色が違うとのことでした。そして、青いサワガニも徳島県から高知県にかけて生息しているようです。

「海を隔てて向かい側の四国にいるのなら、紀伊半島にもいるのでは⁉」と思いながら本を読み進めると、何と紀伊半島でも調査を行っているではありませんか。そして、和歌山県との県境に近い三重県側には青色がいるとの調査結果が。

「そこにいるのなら、和歌山県側にもいるはず」と確信したものの、調査候補地の和歌山県東部は和歌山県立自然博物館のある同県海南市からは遠いため、なかなか日程を組めずにいました。それでも、いつも頭の片隅には青いサワガニのことがあり、川に入る際には「色」を気にしていたのです。(和歌山県立自然博物館学芸員 国島大河)