米、ワクチン偽情報に対抗 人気歌手を登用 - 産経ニュース

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米、ワクチン偽情報に対抗 人気歌手を登用

14日、米ホワイトハウスでサキ大統領報道官(右)とともに記者会見に臨む歌手のオリビア・ロドリゴさん(AP)
14日、米ホワイトハウスでサキ大統領報道官(右)とともに記者会見に臨む歌手のオリビア・ロドリゴさん(AP)

【ワシントン=大内清】バイデン米政権が、新型コロナウイルスのワクチン接種をめぐるネット上の偽情報の封じ込めに本腰を入れ始めた。政府の公衆衛生部門を統括するマーシー医務総監は15日、偽情報の流布は「深刻な脅威」として、フェイスブックやツイッターなどの交流サイト(SNS)大手に監視体制を強化するように勧告。米国では接種率の低い州を中心にインド型変異株(デルタ株)の感染が増加しており、政権は危機感を強めている。

新型コロナワクチンに関するネット上の偽情報の65%は、わずか12人の「スーパー・スプレッダー(拡散者)」が発信源-。SNS上の情報の流れを解析する国際非政府組織(NGO)「反デジタル憎悪センター」が、こんな報告書をまとめている。

それによると、この12人によって昨年から今年にかけて拡散された偽情報は、「ワクチンの副反応は新型コロナそのものよりも危険だ」などとするものから、「世界的な大富豪が接種者にチップを埋め込もうとしている」「黒人が標的にされている」といった陰謀論まで幅広い。

マスク着用は健康を害すると主張したり、ワクチンを接種する代わりに特定の食品を買うよう宣伝したりするものも少なくない。

多くの人に接種をためらわせているとみられる偽情報の一つとして米政府が懸念しているのが、「ワクチンが不妊を引き起こす」との言説。公衆衛生当局は「そのようなことはない。科学的に否定されている」と繰り返し訴えている。

サキ大統領報道官も15日の記者会見で、12人のアカウントが多くのSNSで凍結されておらず、現在も偽情報を発信できることを問題視した。

こうした偽情報を妄信する人がどれだけいるかは不明だが、マーシー氏は同日、米国のワクチン未接種者の3分の2が偽情報を一定程度以上「本当だ」とみなしているとの調査結果があると説明。この日の勧告では、世界的な偽情報の拡散を防ぐため、英語以外の言語についても対策強化が必要だと強調した。

またサキ氏は16日、中国やロシアが自国製ワクチンの優位性を訴えるために、米国製ワクチンの信頼性を損ねる偽情報を拡散させているとも指摘した。

バイデン政権は、若年層に未接種者が多いことを念頭に、若者に人気の女性歌手、オリビア・ロドリゴさん(18)が接種を呼び掛ける動画を公開するなど、あの手この手で偽情報に対抗しようとしている。

ただ、SNS各社に偽情報の封じ込めに向けた協力を求めることについては、野党・共和党の一部が「検閲だ」などと反発。未接種者には共和党支持者が多いとのデータもあり、ワクチン普及という公衆衛生の問題が党派的な争いを深めている側面もある。