日本郵便が6月から始めた異例の郵便配達サービスが波紋を呼んでいる。受取人の住所だけで郵便物を配達できるようにするもので、日本郵便によると、NHKの受信料徴収業務に活用するために日本郵便が制度設計した。NHKには毎年700億円以上かけて受信料支払いを対面で求める営業費用を削減できるメリットがあり、日本郵便にとっても減り続ける郵便物の収入を補うことが期待できる。ただ、受信料に不満を抱く視聴者から反発が上がっているほか、郵便局の現場からも批判が日本郵便に飛び火することを危惧する声が出ている。
郵便物の配達業務は原則として、宛名と住所が日本郵便のデータベースと一致しない場合は差出人に返送される。日本郵便が始めた「特別あて所配達郵便」は、年間1000通以上を差し出すことなどを条件として、1通につき200円の追加料金を支払うことで、受取人の氏名を記載せずにはがきや郵便物を郵送できるサービス。例えば一般的な定形郵便物(25グラム以内)1通の場合、通常の料金84円に200円が追加されて284円かかる。
6月21日から1年間試行するという位置付けで、日本郵便とNHKの連携の強化を進めたい武田良太総務相の肝いりで始まった。