「任期中に合意しない」イラン大統領、核協議で

イランのロウハニ大統領(イラン大統領府提供、ゲッティ=共同)
イランのロウハニ大統領(イラン大統領府提供、ゲッティ=共同)

【カイロ=佐藤貴生】イランのロウハニ大統領は2015年の核合意再建のため、ウィーンで米国と行ってきた間接協議をめぐり、自らの任期が切れる8月上旬までに米国との歩み寄りはないとの考えを示した。ロウハニ師は国際協調を掲げる穏健派で、反米保守強硬派のライシ師が大統領に就任した後、対米関係はさらに冷え込む公算が大きい。イランの核開発封じ込めの成否は見通せない状況になってきた。

ロイター通信によると、ロウハニ師は14日、「政権が(米国などと)合意に達する機会は奪われた。私たちは落胆している」と述べた。米国と一定の合意を結ぶことは「許されなかった」とし、最高指導者ハメネイ師を頂点とするイラン指導部を暗に批判した。

6月中旬の大統領選でのライシ師勝利を受け、反米保守の影響力が強まっているとみられる。同師は8月5日に大統領就任の予定。

間接協議ではイランの核合意に逸脱する行為の停止と、米国が合意を離脱して科した経済制裁の解除を討議している。欧州連合(EU)の仲介で4月上旬以降、6回開かれたが6月20日から休会が続き、イラン側は政権交代を前に方針を協議中とみられる。

イランの複数の政府関係者はロイターに、ライシ師が大統領就任後に「より強硬な路線」を取る計画で、核開発のチームも強硬派の高官に代わると発言。米国に対して「柔軟性を排し、さらに多くの譲歩を要求する」とし、次回の間接協議の開催は9月下旬以降になるとの見通しを示した。

イラン経済は低迷続きで、国民の不満を和らげるためにも米国の制裁を解除させたいのが指導部の本音だ。ただ、制裁の全面解除を求めるイラン側に対し、バイデン米政権は間接協議で一定の合意に達したとしても、一部の制裁は継続する方針とされる。支持基盤である反米保守層の批判を避けたいライシ次期政権が安易に米国に歩み寄ることは考えにくく、間接協議は停滞が予想される。

ロウハニ師は14日、無念さをにじませる一方、「必要となればウランの濃縮度を90%まで上げることができる」とも述べた。ウランは濃縮度90%になると核兵器転用が可能とされ、イランは4月に60%のウランを製造済みだ。米国に制裁解除を迫る「脅し」は国際社会にとり危険なレベルに近づいており、早期解決は困難な状況が続きそうだ。