トルコクーデター未遂5年 強権政治が加速、欧米関係も冷却化

2016年7月16日、トルコで起きたクーデター未遂事件で戦車の走行を妨害しようとする市民ら=アンカラ(AP)
2016年7月16日、トルコで起きたクーデター未遂事件で戦車の走行を妨害しようとする市民ら=アンカラ(AP)

【カイロ=佐藤貴生】トルコで政府転覆を図るクーデター未遂事件が起きてから15日で5年となった。エルドアン政権は政府機関を引き締めるために厳しい摘発を進め、ロイター通信によると公務員15万人以上が解雇もしくは停職となった。事件は政権が強権化を加速する契機となり、報道機関も9割以上が体制寄りになったといわれる。

2016年7月15日、軍の一部が政府転覆を狙って反乱を起こし、政権や治安部隊の呼びかけに応じた市民が反乱勢力と衝突した。反乱は16日、鎮圧されたが、市民ら250人以上が死亡、2000人以上が負傷したとされる。

トルコの裁判所は昨年11月、事件をめぐる裁判で、500人近い被告のうち337人の軍幹部らに無期懲役の判決を言い渡した。一度の判決としては最大規模で、政権はなお追及の手を緩めていないようだ。

エルドアン政権は在米イスラム指導者ギュレン師が事件の「黒幕」だと断定、身柄引き渡しを求めているが、米国は応じていない。同師は社会奉仕を行う「ギュレン運動」を主導し、軍や警察など各界に多くの支持者がいた。報道機関も同様だった。

国際ジャーナリスト組織「国境なき記者団」によると、事件後の非常事態宣言の下、大手を含む179の報道機関が閉鎖に追い込まれた。昨夏にはネット空間の異論を封じるSNS(会員制交流サイト)規制法も成立した。

トルコのフリージャーナリスト(55)は、「エルドアン氏は今も事件を反体制派排除の根拠として使っている。政権支持の大手メディアは同氏の宣伝を展開しており、反体制メディアは大きな圧力にさらされている」と話した。