<独自>京都新聞大株主への報酬、国税「高額すぎる」 第三者委が経緯調査

京都新聞社を傘下に置く京都新聞ホールディングス(HD、非上場)=京都市中京区=で、大株主で相談役だった白石浩子氏(80)に不適切な報酬を支払っていた疑いがあるとの問題が浮上している。報酬をめぐっては国税当局が約10年前、「不相当に高額」と指摘していたことも16日、関係者への取材で判明。報酬の支出は今年2月まで継続していた。京都新聞の報道によると、報酬の年間総額は4千万円を超えるとみられる。(岡嶋大城、桑村大)

特定の株主に配当とは別に報酬を支払い続けたことが「株主の権利の行使に関し、財産上の利益の供与をしてはならない」と定めた会社法に抵触する疑いがあるとして、HDは弁護士でつくる第三者委員会を設置し、調査している。

同紙の報道や関係者によると、浩子氏が代表を務める資産管理会社はHD株式の25・9%を保有。浩子氏にHDなどのグループ3社が長年、株主配当とは別に相談役報酬を支払っていた。年間総額は4千万円超とみられる。昨年2月以降の内部調査の結果、不適切な支出だった可能性があるとして報酬の支払いを停止し、今年3月に相談役を解嘱した。

一方、関係者によると、平成23年ごろの国税当局の税務調査で浩子氏の報酬について、ほかの相談役の報酬や業務内容との比較などから「不相当に高額」と指摘された。高額と判断された部分は損金として認められなかった。

京都新聞社の本社=7月6日、京都市中京区(桑村大撮影)
京都新聞社の本社=7月6日、京都市中京区(桑村大撮影)

同紙によると、浩子氏への高額報酬は長年にわたって続いたとされる。関係者によると、浩子氏の年間報酬額を知る人物は社内のごく一部に限られていたが、新型コロナウイルスの感染拡大を背景に昨年2月から経費の見直しを進めていた過程で判明。浩子氏は近年は、3カ月に1度のペースでHDの社長から社の近況報告を受けていたが、自ら出社することはほぼなかったという。

HDは6月14日に記者会見し、特定株主に報酬を支払い続けたことが会社法に抵触する疑いがあるとして第三者委を設置したことを明らかにしたが、調査への影響などを理由に、支出先や額は伏せた。一方、京都新聞は翌15日付朝刊1面でそれらを報じた。京都新聞社はHDの100%子会社だが、記事では「独立した立場で今回の問題を取材、報道する」と伝えている。

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