米政権、アフガン人通訳を国外退避へ ブッシュ元大統領は米軍撤収を批判

バイデン大統領(UPI=共同)
バイデン大統領(UPI=共同)

【ワシントン=黒瀬悦成】バイデン米政権高官は14日、アフガニスタンの駐留米軍や米政府機関で通訳や翻訳係などとして協力したアフガン人とその家族らを7月最終週から空路で国外に退避させると明らかにした。

アフガン政府軍と対立するイスラム原理主義勢力タリバンが全土で攻勢を強め、パキスタンやタジキスタンなど隣国との国境検問所を制圧する中、タリバンに危害を加えられる恐れが極めて強い米軍協力者の処遇が注目されていた。

政権高官によると退避は「同胞の保護」作戦と名付けられ、国務省と国防総省、国土安全保障省が連携して実施。アフガン人通訳らのうち、特別移民ビザ(査証)の発給手続きが進んでいる者から退避させる。具体的な退避の日付は安全上の問題から公表できないとしている。

サキ大統領報道官は13日の記者会見で、作戦について「(通訳らが)勇気ある人々であるからこそ、こうした措置をとる。彼らが過去数年間に果たしてきた役割を正当に評価し尊重していく」と説明した。

米メディアによると、初期段階の退避者は約2500人で、米政府がチャーターした民間機で移送される。特別ビザが発給されるまでは、米国内の米軍施設に収容される見通し。

5日、アフガニスタンの首都カブール北方にあるバグラム空軍基地から米軍が撤収後に周辺を警戒するアフガン政府軍の兵士(AP)
5日、アフガニスタンの首都カブール北方にあるバグラム空軍基地から米軍が撤収後に周辺を警戒するアフガン政府軍の兵士(AP)

一方、2001年の米中枢同時テロを受けて米軍によるアフガン進攻を決断したブッシュ元大統領(子)は14日、ドイツ公共放送ドイチェ・ウェレのインタビューで、バイデン政権によるアフガン駐留米軍の撤収について「信じ難いほど悪く悲惨な結果をもたらすだろう」と述べ、政権の対応を批判した。

ブッシュ氏は、米軍がアフガンに進攻して当時のタリバン政権を打倒したことで、アフガンの女性や子供の地位向上で「大きな前進を果たした」と指摘した上で、タリバンが再び実権を掌握すれば「女性や子供は悲惨な境遇に陥る。深く懸念している」と訴えた。

米政策研究機関「民主主義防衛財団」の調査では13日現在、タリバンはアフガンの全407地区のうち約55%にあたる223地区を制圧し、引き続き攻勢をかけている。アフガン政府が管理下に置く地区は73にまで減少している。