池袋暴走事故公判結審詳報

(3)真菜さん妹「もう私は無になりました」

妻の真菜さんと長女莉子ちゃんの写真を前に記者会見する松永拓也さん=4月27日午後、東京・霞が関の司法記者クラブ
妻の真菜さんと長女莉子ちゃんの写真を前に記者会見する松永拓也さん=4月27日午後、東京・霞が関の司法記者クラブ

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《東京・池袋で平成31年4月、乗用車が暴走して通行人を次々とはね、松永真菜さん=当時(31)=と長女、莉子ちゃん=同(3)=が死亡した事故で、自動車運転処罰法違反(過失運転致死傷)の罪に問われた旧通産省工業技術院の元院長、飯塚幸三被告(90)の公判。真菜さんの父、上原義教さんの意見陳述が終了し、真菜さんのきょうだいによる意見陳述が始まった》

《まず、真菜さんの2歳下の妹の意見を代理人弁護士が代読していく》

妹「頼りにし、甘えていました」

《一緒に海外旅行に行ったことや、そして莉子ちゃんが産まれ、真菜さんが育児に奮闘していたこと。自身も、莉子ちゃんのお世話を手伝いに行ったこと。妹は、真菜さんとの思い出を振り返る》

妹「事故当時、私は妊娠9カ月でした。莉子ちゃんも、赤ちゃんが生まれることを楽しみにしていました」

《事故後、妹は、真菜さんが夢に出てくることを明かした》

妹「夢の中では会話はなく、映像だけ。会いに来てくれているのかな。ママになってから、真菜と話してみたかった」

《事故後の父、上原義教さんについても、心配を募らせていることにも触れた》

「父は事故後、無口というか、話さなくなって顔は暗い感じになりました。どう接していいか、わからないこともありました。裁判の内容はニュースで知りますが、父は裁判について『あの態度はひどい』というだけです」

《代理人が読み上げる言葉に、飯塚被告はじっと耳を傾けている》

妹「前回の被告人質問のことを知って、被告には何も響かないんだということを痛感しました。もう私は無になりました。それ以上、言うことはありません」

《妹の意見陳述は、最後にこう締めくくられた。この間、飯塚被告は姿勢を変えることもなく、聞き入っていた》

《続いて、真菜さんと11歳離れた弟の陳述が始まった。『真菜ねえ(姉)』。法廷に足を運んだ弟本人が証言台に立ち、いつもの呼び方で思いを語った》

弟「真菜ねえが結婚したのは、私が中学生だったときでした。人見知りだった莉子ちゃんは、事故の数カ月前、沖縄に遊びに来たときには、一人で私の部屋に来てくれるまでになっていました」

《事故があった日、父から事故のことを知らされたという弟は、被害者参加制度で裁判に臨む思いを、絞り出すような声で明かした》

弟「東京にいい思い出はなく、正直行きたくはありません。ただ、被告をどうしたいというよりも、父を支えたい」

《運転免許の更新制度への疑問も投げかけた》

弟「事故後、他人の運転が気になるようになりました。なぜ、免許の更新制度に、年齢の上限はないのでしょうか」

《法廷での飯塚被告の態度にも言及した》

弟「被告は裁判中、下を向いていたり、態度はひどいと思います。(前回の被告人質問で、莉子ちゃんの漢字が書けないと発言したことについて)漢字を書けないであったり、反省の姿は見られません。(裁判所は)公正な判決を下してくれると思います」

《裁判で証言した目撃者らへの感謝の言葉で、弟の意見陳述は終わった》

=(4)拓也さん母「実刑を望みます」に続く


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