新型コロナウイルス感染症の治療薬は現在、他の疾病向けに開発された既存薬の転用が主流だ。開発にかかる時間が短縮でき早期に治療現場に導入できるが、効果が限られるなどの課題もある。複数の国内企業が治療薬候補の年内承認を目指して、国内治験を進めている。
現在国内で新型コロナ治療薬として厚生労働省が認めているのは、エボラ出血熱の治療薬として開発された「レムデシビル」と、抗炎症のステロイド薬「デキサメタゾン」、4月に承認された関節リウマチなどの薬で、炎症を抑える効果がある「バリシチニブ」の3製品のみだ。
富士フイルム富山化学は、開発した新型インフルエンザ治療薬「アビガン」について改めて治験を実施しており、10月までに終える予定だ。
中外製薬が開発した関節リウマチ治療薬「アクテムラ」は、6月下旬に米食品医薬品局(FDA)から入院患者向けのコロナ治療薬としての緊急使用許可を取得。日本国内ではすでに最終治験を終えており、年内の承認申請を目指す方針。
医薬品製造などを手掛ける興和も、ノーベル賞を受賞した大村智・北里大特別栄誉教授が開発に貢献した抗寄生虫薬「イベルメクチン」について、国内で治験を始めると7月上旬に発表、年内の承認申請を目指している。