主張

南シナ海裁定5年 中国の法の無視を許すな

南シナ海の大半に主権が及ぶとする中国の主張を仲裁裁判所(オランダ・ハーグ)が否定し、5年がたった。だが中国は裁定を無視したまま、現在も南シナ海での実効支配を強めている。

裁定5年を契機に日米が12日、そろって声をあげたのは妥当である。

茂木敏充外相は「国連海洋法条約をはじめ国際法に従った紛争の平和的解決の原則に反し、法の支配を損なう」と述べ、ブリンケン米国務長官は「航行の自由を脅かしている」と指摘した。ブリンケン氏は米国と東南アジア諸国連合(ASEAN)のオンライン形式の外相会議でも、南シナ海における中国の違法な海洋権益の主張を米国は受け入れないと強調した。

これらに対し、中国外務省の趙立堅報道官は「裁定は違法、無効であり紙くずだ」と改めて言い放った。だが、法を無視しているのは明らかに中国である。

力にものを言わせる傲慢な振る舞いは到底認められない。国際社会は何としても、中国を裁定に従わせなくてはならない。

中国は南シナ海を何ら根拠のない「九段線」で囲い込み、その内側に歴史的権利を有すると主張している。スプラトリー(中国名・南沙)諸島などの岩礁を埋め立て、軍事拠点化を進めた。

こうした力による現状変更を深刻な脅威と受け止めたフィリピンの提訴を受け、仲裁裁判所は2016年7月12日、中国の言い分を全面的に退ける判決を下した。

だが中国は裁定を「紙くず」と呼んで無視し、海域に行政区を設定して現状変更の既成事実化を図る一方、南シナ海に弾道ミサイルを発射して周辺国を威嚇した。

南シナ海は国際的に重要な海洋交通路であり、日米などが提唱する「自由で開かれたインド太平洋」の要に位置する。中国の軍事拠点化には歯止めをかけなければならない。

しかも中国は、東シナ海の尖閣諸島(沖縄県石垣市)の奪取を図り、挑発を繰り返している。日本にとって南シナ海情勢は人ごとではないと強く認識すべきだ。

米海軍第7艦隊は12日、ミサイル駆逐艦「ベンフォールド」がパラセル(中国名・西沙)諸島周辺で「航行の自由」作戦を実施した。日本も南シナ海で、自衛隊による「航行の自由」作戦に参加すべきである。

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