【社説検証】無観客の五輪 「感染拡大なら中止を」と朝毎 産経「喪失感あまりに大きい」 - 産経ニュース

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【社説検証】無観客の五輪 「感染拡大なら中止を」と朝毎 産経「喪失感あまりに大きい」

無観客開催に関する記者会見に臨む東京五輪・パラリンピック大会組織委員会の橋本聖子会長(右)と武藤敏郎事務総長=8日夜、東京都中央区
無観客開催に関する記者会見に臨む東京五輪・パラリンピック大会組織委員会の橋本聖子会長(右)と武藤敏郎事務総長=8日夜、東京都中央区

新型コロナウイルスの感染が再び増加傾向に転じたのを受け、政府は東京都に4回目の緊急事態宣言を発令し、埼玉、千葉、神奈川、大阪の4府県に対する蔓延(まんえん)防止等重点措置も延長した。いずれも来月22日までが期限だ。

これによって23日に開幕する東京五輪についても、政府や東京都、大会組織委員会などは1都3県の主要な競技会場を無観客とすることを決めた。その後、北海道や福島県でも無観客とする方針に変更した。

各紙の社説は、ワクチン接種を含むコロナ対策が後手に回った政府の対応を批判する論調が目立ったが、五輪の開催自体に対する姿勢は大きく分かれた。

産経は、新型コロナで大会を1年延期した揚げ句の無観客開催について、「公約の破棄に等しく、ホスト国として恥ずかしい大失態である。欧米の各地で有観客のスポーツイベントが開催されている実態をみれば言い訳はできない」と難じた。

「これ以上、感染を拡大させないためには、無観客も仕方のない選択だろう」と無観客に一定の理解を示した読売は、「政府は、開幕直前になって方針変更を迫られることになった見通しの甘さを謙虚に反省してもらいたい」と自省を促した。

日経も「観客を入れることで人流が活発になり、爆発的な感染につながるリスクを考えればやむを得ない決断だ」と指摘した。そのうえで「国民の間には開催への疑問の声が残っている。国、都、組織委のトップらは、コロナ禍での五輪の意義について、人々が納得する言葉で説明を尽くすべきだ」と訴えた。

一方、朝日は無観客での五輪開催について「危機の中でなお、巨大イベントを強行しようとしていることに変わりない。健康より五輪を優先する理由などどこにもない」と五輪の開催そのものを改めて批判した。

毎日も「国民生活が宣言下で制約される中、五輪会場に観客を入れて祝祭ムードを演出することに、社会の理解が得られるはずはない」と強調した。そのうえで「観客制限の判断が開幕直前まで遅れたのは大きな失態と言わざるを得ない。責任の所在を明確にせず、政府や組織委が場当たり的な対応を続けてきた結果だ」と非難した。

無観客による影響に懸念を示したのは産経だ。「世界最大のスポーツイベントに観客を呼べないことへの喪失感はあまりに大きい。その損失は単にチケット収入という経済的な側面だけでは語れない」と論考し、「自宅でのテレビ観戦で最高峰の舞台を堪能し賛辞を送るなど、無観客開催でも可能な支援を再考したい」と主張した。

読売も「世界のアスリートが結集するスポーツの祭典を会場で観戦できないのは残念だが、テレビなどの画面を通して躍動する選手に声援を送りたい」と提案した。そのうえで「無観客開催を決めた以上、感染防止を徹底して、選手が競技に専念できるよう、万全の体制を整えることが当面、最大の課題だ」と注文を付けた。

これに対し、五輪開催に反対姿勢を示す朝日は「今後、感染状況がさらに悪化して医療が逼迫(ひっぱく)し、人の命が脅かされるようなことになれば、聖火がともった後でも中断や中止に踏み切る。それだけの覚悟を固めておく必要がある」と求めた。毎日も「感染の急拡大で医療体制が崩壊するような最悪の事態も起こりうる。主催者は状況に応じ、大会の中止や競技の打ち切りといった選択肢も想定しておく必要がある」と感染状況に応じて大会の中止を促した。

五輪開幕を直前に控えた無観客決定は、大会ボランティアや観戦ツアーなどの影響も大きい。混乱を最小限に抑えるための工夫が問われる。(井伊重之)

無観客五輪をめぐる主な社説

【産経】

・五輪「無観客」は大失態だ/宣言は4回目を最後とせよ(9日付)

・中高生観覧の拡大検討を(11日付)

・「同調圧力」に屈したのか(13日付)

【朝日】

・専門知、軽視の果てに(10日付)

【毎日】

・感染爆発防ぐ対策見えぬ(9日付)

【読売】

・テレビ観戦でエールを送ろう(10日付)

【日経】

・無観客に油断せず感染対策の徹底を(10日付)

【東京】

・混乱招いた遅い決断(10日付)

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