主張

大谷翔平の活躍 日本人の可能性を広げた

スポーツは時に全ての事象のきっかけとなり得る。大リーグのエンゼルスで大谷翔平が打ちまくっている本塁打は日本人の可能性を広げ、自信を与えてくれるものだ。

オールスターゲームの本塁打競争に出場し、1回戦での敗退はご愛嬌(あいきょう)だったが、延長、再延長の熱戦は球場を大いに沸かせた。しかも打球速度や飛距離でも圧倒的な力をみせ、今や大リーグ最高のパワーの持ち主であることを証明した。

会場となったコロラド州デンバーのクアーズ・フィールドは標高約1600メートルの高地にあり、打球がよく飛ぶことで知られる。本塁打競争前の打撃練習でも大谷は右翼席最上段に155メートルの打球を当てて大喝采を浴びた。

地元紙「デンバーポスト」が3年前に掲載したコラムはこう書いていた。「死ぬまでに見ておきたいものがあるとすれば、万里の長城、アイスランドのオーロラ、そして大谷の打撃練習だ」

記事はこう続いた。「投げて打てる大谷は、歌って踊れるビヨンセのようだ」。今季の大谷は盗塁を含む走塁でも観衆を沸かせ、外野の守備にもつく。打って投げて走れて守れる大谷を、もはや誰にも例えようがない。

オールスターの折り返しを前に大谷は33本の本塁打を記録し、ア・リーグで独走している。投げてもリリーフ陣の不調にもかかわらずすでに4勝を挙げた。

これまで日本選手は体格とパワーに劣り、敏捷(びんしょう)性と技術で勝負するといわれてきた。マリナーズなどで活躍したイチロー選手が代表例だろう。

パワーで互角の勝負を挑んだのはヤンキースでワールドシリーズのMVPを獲得した松井秀喜選手だったが、大谷はいまや、大リーグで最高の長距離打者として君臨しようとしている。

さらに13日(現地時間)はオールスターで先発のマウンドに上がり、1番DHとして打席にも立つ。両リーグの監督が大谷の二刀流を見たいと、特別ルールで実現させたものだ。大谷は野球の歴史さえも塗り替えようとしている。それが日本の選手であることが、なんとも誇らしい。

まもなく東京オリンピックが開幕する。五輪もまた、人類と民族の可能性を証明する場だ。各国の選手にはその活躍で、大いに刺激を与えてほしい。

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