対中抑止へ戦力見直し「時間少ない」 日本研究賞受賞のトシ・ヨシハラさん

トシ・ヨシハラさん
トシ・ヨシハラさん

優れた外国人研究者を表彰する公益財団法人「国家基本問題研究所」(国基研、櫻井よしこ理事長)の今年の日本研究賞に、米シンクタンク「戦略予算評価センター(CSBA)」のトシ・ヨシハラさん(49)が選ばれた。日本近海で中国の戦力が日本を上回ったと伝える近著『中国海軍VS海上自衛隊』(ビジネス社)が受賞作品。「研究活動を支えてくれた同僚や日本の友人に心から感謝します」と喜びを語った。

著作は、日本の艦艇81隻に対し中国は300隻、ミサイルの垂直発射システム(VLS)は75%も中国が多く保有するなどの戦力格差を紹介。日本を「宿命的な敵」とみなし軍備拡張する中国を抑止するため、「日米に残された戦力見直しの時間は少ない」と説く。

日本人の父と台湾出身の母を持つ。九州で生まれ、父の仕事の都合で台湾で育った。東京の大学へ進学した1991年、リュック一つで中国に「冒険旅行」。当時の中国は民主化デモを武力鎮圧した89年の天安門事件で国際的に孤立しており、急成長する前の「古い中国の姿」を垣間見た。

これが原体験となり外交を学ぶため米国へ留学。タフツ大(マサチューセッツ州)で博士号を得た後、米海軍大教授を務め海洋戦略の第一人者に。現在は首都ワシントンのCSBAで上席研究員を務める傍ら、ジョージタウン大で教壇に立つ。

「軍事戦略の学者が一般大で教えるのは米国では普通のこと」と指摘。軍事研究を禁じる大学が多い日本の状況を踏まえ、「文民と軍人の相互理解は国防意識を深める上で大切だ」と語った。

2009年に米国籍を取得。南部バージニア州で妻と娘2人と暮らす。(ワシントン 平田雄介)

国基研 日本研究賞 国家基本問題研究所は平成19年、純民間のシンクタンクとして創立された公益財団法人。日本研究賞は平成26年から政治、経済、安全保障、社会、歴史、文化の各分野で日本への理解を増進する優れた研究成果を顕彰しており、今年で8回目。