話の肖像画

デザイナー・コシノジュンコ(81)(12)ブティックを軸に「時代」をつくる

青山のキラー通りに出店したブティック「コレット」
青山のキラー通りに出店したブティック「コレット」

(11)へ戻る

《イヴ・サンローランがリブ・ゴーシュ(セーヌ川左岸)にプレタポルテ(高級既製服)で初めてのブティックをオープンしたのが1966(昭和41)年のこと。日本でも同年、東京・青山にブティック「コレット」がオープン。ファッションの新しい時代が始まる―》


パリのサンローランの店で「ブティック」という表記をみて、直感で「いいな」と思い、自分の店にも付けてみました。この言葉を日本に持ち込んだのは私が初めてだと思います。

ブティック「コレット」は、これまでのお客さまやバーで知り合った仲間たちなど、みんなでつくり上げた店でした。店名のコレットは、とある小説に出てくる登場人物から。ロゴマークは、グラフィックデザイナーの宇野亜喜良さんが考えてくれたセクシーな唇をモチーフに。家具のデザインは金子國義さんにお任せして、内装はピンクと黒でまとめ上げました。

仲間たちが面白がって店をつくってくれたという感じです。オープン後もたくさん集まってくれました。そして、そのお友達がまた新しい人を連れてきてくれて、いつの間にかお客さんが増えていった。


《コレットをオープンして間もなく、グループサウンズ(GS)の衣装を手掛けることに。フリルに厚底ヒール、刺繡(ししゅう)…。中性的でミステリアスな雰囲気の衣装は、ファッション業界に新たな風を送り込んだ》


音楽関係者や作家、カメラマンなど、店には芸能人や文化人がよく来て、興味津々で服を作ってくれました。

当時、デビューしたての歌手、布施明さんが衣装を作りたいと、うちにやってきた。布施さんのくっきりとした顔立ちに合うよう、大きなフリルのついたブラウスを作りました。

それを見た所属先の「渡辺プロダクション」の副社長(当時)、渡辺美佐さんが興味を持ってくれて。近々デビューするグループ「タイガース」の衣装を作ることになりました。すると、その衣装が大当たり! 他のGSにも波及して、どんどん仕事が舞い込みました。スパイダース、ワイルドワンズ、カーナビーツ…もはやGS専門のよう。