ユネスコで再び「歴史戦」 韓国、軍艦島「改善」を要求

長崎市の端島(通称・軍艦島)
長崎市の端島(通称・軍艦島)

【パリ=三井美奈、ソウル=時吉達也】国連教育科学文化機関(ユネスコ)が再び日韓の「歴史戦」の舞台となっている。16日に中国福建省で開幕する世界遺産委員会で、日本の世界文化遺産「明治日本の産業革命遺産」について、徴用された朝鮮人労働者をめぐる表示が不十分として「強い遺憾」を決議表明する見通しだ。韓国の要請に沿ったもので、韓国は日本に展示の改善を求める構えを見せている。

12日に明らかになった決議案は、端島(はしま)炭坑(通称・軍艦島)の「犠牲者を記憶にとどめる」措置として、日本が東京に昨年設立した「産業遺産情報センター」について不十分とした。決議案とともに提出される報告書は、センターが遺産の構成資産から離れ、歴史を示す展示に乏しいと指摘した。

報告書はユネスコ事務局が指名した専門家の調査がもとになった。日本外交筋は「歴史をめぐる展示が構成資産の近辺にないことについて、ユネスコが否定的な見解を示すのは初めて。韓国側の強いロビー活動が背景にあったのでは」と指摘する。

韓国はセンターをめぐり「歴史の歪曲(わいきょく)」と強く抗議していた。韓国外務省報道官は13日の定例会見で「日本が速やかに(改善を)履行するよう促す」と述べ、韓国メディアは「東京五輪を前に日本が公の場で恥をかかされた」(中央日報)などと大々的に報道した。

左派系紙ハンギョレは「日本は今からでも日帝強占期(日本の朝鮮半島統治期)の過ちに対する真摯(しんし)な反省を拒み歴史をゆがめる行動を改め、国際社会との約束を直ちに履行しなければならない」と主張した。

ユネスコでは今年4月、世界の記憶(世界記憶遺産)をめぐり、日韓両国の約2年の対立の末、日本の主張に沿った制度改革が実現。日韓の民間団体などが申請した「慰安婦関係資料」の登録も事実上、不可能になっている。