ワクチン接種目標達成見通しもペースに課題

新型コロナウイルスワクチンの自治体による接種が1日120万回のペースに達し、このまま推移すれば10月末までに希望する国民全員の2回接種が完了する見通しとなった。政府は接種完了の目標としてきた「10~11月」をクリアできると見込む。今後の課題は接種ペースの維持と若者の接種率向上だ。

「いや、今はだいぶ予定より進んでいると思います」

河野太郎ワクチン担当相は12日夜に出演したテレビ朝日番組で、ワクチン接種に関して「今ちょっと遅れている…」と指摘した男性キャスターをさえぎってこう語気を強めた。

菅義偉首相が掲げた「6月中旬に1日100万回接種」の目標は当初、達成困難との声が大半で、河野氏も「70万~80万回ぐらいで」と進言した。だが、政府は医療機関への支援金増額などで打ち手確保を図り、6月9日に1日100万回を達成。その後も接種スピードは加速し続けた。

ただ、その速度は政府の想定をはるかに超えた。結果的に加速したペースをもとに自治体から寄せられた希望量に供給が間に合わず、混乱が生じた。一部自治体は予約をキャンセルする事態となった。

政府は4~6月に比べ7~9月の全体の供給量が減ることは事前に公表していた。だが、それが各自治体にどの程度影響するのかを具体的に示さず、自治体側は全容が把握できないまま体制拡充を続け、需給のバランスが崩れた。河野氏は13日のTBS番組で「大変申し訳ない」と陳謝した。

職場・大学接種で使われる米モデルナ製ワクチンは供給量を上回る申請があったため新規受け付けを停止したこともあり、野党は「大混乱だ」(立憲民主党の枝野幸男代表)と批判を強めている。

9月末までに米ファイザー製が約1億7千万回分、モデルナ製は約5千万回分が輸入される契約で、国民全員が2回接種できる数量は確保している。自治体接種で使われるファイザー製は6月末までに配分した約8800万回分のうち、記録上は約4千万回分が未接種の状態となっている。

政府は都道府県と情報を共有し、未接種分が少ない自治体にワクチンを優先配分する。12日には8月前半に配送する1170万回分のファイザー製の市区町村ごとの配分を通知し、自治体が先の見通しを立てやすい環境整備も図る。

一方、今後は64歳以下の現役世代が主な接種対象となる。若者の間では「ワクチン接種で不妊になる」などのデマが広がり、接種ペースが大きく落ち込む懸念もある。希望者が減れば完了時期は前倒しされるが、集団免疫が遠のくことになり、政府はより多くの接種を呼びかける方針だ。(大島悠亮)