主張

福島の五輪無観客 「同調圧力」に屈したのか

東京五輪の野球・ソフトボール会場がある福島県は、一旦は有観客での開催を発表しながら、無観客に切り替えた。首都圏の1都3県に加えて北海道、福島県も無観客となり、有観客での開催は宮城、茨城、静岡の3県5会場のみとなった。極めて残念な判断だ。

福島県では12日、新型コロナウイルスの新規感染者は9人と発表された。病床数にも余裕があり、蔓延(まんえん)防止等重点措置の対象地域でもない。

無観客にしなければならない科学的根拠が分からない。

福島県の内堀雅雄知事は、無観客に変更した理由を「北海道が無観客となり、1都3県以外の会場を全体として観客あり、とする前提が大きく変わった」と述べた。要するに、横並びが崩れたからということだ。

それは、同調圧力に屈したということにならないか。

一方で、宮城スタジアム(利府町)がサッカー会場となる宮城県の村井嘉浩知事は、「1万人を上限として予定通り行う」とし、県内でプロ野球などのイベントが開催されていることや、チケット保有者の半数が宮城県、全体の7~8割が東北地方からの観客だと説明した。

その上で「五輪を楽しみにしている人が観戦できないのは極めて不平等だ」「東日本大震災からここまで立ち上がったのだと発信したい」と述べた。

全国知事会で秋田県の佐竹敬久知事は「全面的無観客」を主張したが、村井知事は「準備を進めているのでかえって混乱する」と突っぱねた。

村井知事の指摘通り、プロ野球は全国で1万人超の観客を入れて開催している。緊急事態宣言下の沖縄でさえ、11日まで、東京五輪に出場するバスケットボール日本代表の国際強化試合3試合が、複数の新聞社の協賛により、有観客で開催された。

なぜ五輪だけが無観客を強いられるのか、理解に苦しむ。コロナ禍の初期に横行した「自粛警察」の新たな標的として五輪が悪者に仕立て上げられたような、嫌な空気感に支配されているようだ。

世界に目を転じれば、英国やブラジルでサッカーの大陸選手権決勝が有観客で行われ、国を挙げての悲喜劇に大騒ぎとなっている。東京の無観客五輪が奇異の目で見られても仕方あるまい。

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