ワクチン先進国で3回目接種案 デルタ株拡大で浮上 - 産経ニュース

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ワクチン先進国で3回目接種案 デルタ株拡大で浮上

米ファイザー製のワクチンのバイアル(佐藤徳昭撮影)
米ファイザー製のワクチンのバイアル(佐藤徳昭撮影)

新型コロナウイルスワクチンの接種が進む国々で、接種完了者に対する3回目接種の要不要が焦点に浮上してきた。感染力が強いインド型変異株(デルタ株)拡大が背景にある。英国やイスラエルが前向きな動きを見せる一方、米国では政府と製薬会社の対立が表面化している。(ロンドン 板東和正、カイロ 佐藤貴生、ワシントン 大内清)

英国では政府の諮問機関「ワクチン・予防接種合同委員会(JCVI)」が6月末、3回目のワクチン接種を9月以降、冬に向けて実施するよう助言した。追加接種で重症化リスクの高い高齢者の保護を強化する考えで、政府は前向きに準備を進めている。

英政府は12日、ロンドンを含むイングランド地方の行動規制を19日にほぼ撤廃すると正式決定した。新規感染者が1日3万人を超す一方、死者や重症者は抑制できているとの判断があるとみられる。英国では全成人の約6割が2回の接種を完了。当局は接種によりイングランドで2万7千人の死亡を防いだと推計する。

英メディアによると、3回目の接種は時間の経過や変異株でワクチンの効果が低下するリスクに対応するのに有効とみられている。ジャビド保健相は「英国民の(行動の)自由を取り戻した。(3回目接種で)その自由を守る」と述べた。

イスラエル政府は免疫力が落ちている成人を対象に3回目のワクチン接種を進める方針を示している。デルタ株の影響で、6月上旬には1ケタ台に減った新規感染者が今月上旬に500人を超えるなど再び増加しているためだ。

有力紙ハーレツの11日の報道によると、重症化して入院している感染者約45人のうち約半数は接種を済ませており、その多くは既往症があるなど、免疫低下のリスクが高いとされる人だった。

同国保健省は今月上旬、ワクチンの予防効果が6月以降、95%から64%に下がったと発表し、デルタ株の影響との見方が出た。ただデルタ株に対する効果が低いのか、接種後の時間経過で免疫力が落ちているのかは不明で、同省高官は統計を精査する意向を示した。

米国では製薬大手ファイザーが3回目接種の許可を米食品医薬品局(FDA)に8月中に申請する方針を表明。12日には政府のワクチン政策に関わる専門家らを招き、同社の立場を説明した。ただ、疾病対策センター(CDC)が「ほぼすべての入院患者や死者はワクチン未接種者」と指摘するなど、政府側は慎重だ。

FDAとCDCは8日、共同声明で、将来的に追加接種が必要になるかは科学的なデータに基づいて判断すると強調。米CNBCによると、FDAにワクチンに関する助言を行う医師の一人は「ワクチン政策を主導するのは製薬会社ではない」と追加接種を急ぐファイザーを批判した。

一方、世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長は12日、「優先しなければならないのは接種を受けていない人たちだ」と述べ、3回目接種よりも途上国への供給を優先するよう呼びかけた。