ビブリオエッセー

思春期の読書は2度おいしい 「なんて素敵にジャパネスク」氷室冴子(集英社コバルト文庫)

昨年、娘の中学が休校中のとき、多くの本に親しんでもらおうと図書館でたくさんの本を借りて、娘の部屋に山積みにしておいた。梨木香歩さんや坂木司さん、占いの本に手芸の本、その中に往年のライトノベル『なんて素敵にジャパネスク』をそっと置いてみた。

さて結果は? 結局、娘は手に取らなかったようだが私はパラっと最初のページを開いたら最後、終わりまで一気に読んでしまったのだ。

あぁ、面白かった! 自分が思春期に夢中になった本を数十年経って再読する楽しさをこのとき知った。

平安の貴族社会を舞台にしたラブコメだ。傍目には乱暴で変わり者とみられている瑠璃姫と、そんな姫を人知れず想い続けてきた筒井筒(幼馴染)の高彬(たかあきら)。なんて素敵に高彬! はるか昔に思春期を終えた私もキュンとくる。

でも彼はまだ15歳。平安時代なら大人でも今なら娘と同じ中3生。ちょっと冷静になれ、私。高彬だけでなく、鷹男という謎めいたイケメンまで出てきて瑠璃姫と2人で政治がらみの陰謀を暴いていく。

事件に巻き込まれたり、はたまた自ら飛び込んだり、結局、瑠璃姫と高彬は結婚を決めるのだけれど、なぜかいつも邪魔が入ってしまい、思うようにコトは進まない。ここまでが第1巻でその後、続編が何冊も刊行された。

このシリーズには平安時代の慣習や調度品の描写も多く、歴史に興味をもつきっかけになりそうである。社会科が苦手な娘がこれで歴史に興味をもち、受験用参考書も楽しく読めたら、という思惑があったのだが、そんなこととは関係なく、いま夢中になって、30年後の再読で「思春期の読書は2度おいしい」ことを知ってもらいたいと強く願う母なのであった。

兵庫県宝塚市 今津雅代(50)

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