北海道白老町に先住民族アイヌをテーマとした初の国立施設「民族共生象徴空間(ウポポイ)」が開業して12日で1年を迎えた。存続の危機にあるアイヌ文化の継承や発信の拠点として設立されたが、新型コロナウイルスの影響で年間の入場者数は約26万人にとどまり、目標の100万人を大きく下回った。
ウポポイはアイヌ語で「大勢で歌うこと」という意味。昨年7月12日に開業し、施設内の博物館では民族衣装や祭りの道具など約1万点を所蔵し、うち約900点を展示。アイヌの遺骨が集められた慰霊施設も設けられている。
昨年11~12月の全国世論調査では、アイヌを先住民族だと認識している人は90%を超えた。一方で、テレビ番組でアイヌへの不適切な表現が飛び出すなど差別がなくならない現状を踏まえ、博物館では8月にも教員にアイヌに関する理解を深めてもらおうと研修を開く。