香港区議会議員170人が辞意 「愛国」圧力強まる

香港立法会(議会)に掲揚される、中国国旗(右)と香港の旗(AP)
香港立法会(議会)に掲揚される、中国国旗(右)と香港の旗(AP)

【台北=矢板明夫】香港の地方議会に当たる区議会で、圧倒的多数を持つ民主派議員が当局の圧力で相次いで辞職を表明している。香港メディアによれば、区議会479議席のうち、12日までに170人以上が辞意を表明し、今後はさらに増え、過半数に達する可能性もある。立法会(議会)だけでなく、区議会でも親中派が主導権を握る可能性が出てきた。

香港当局は5月に条例を改正し、区議会議員に対し、政府への忠誠を宣誓することを義務付け、今月中にも宣誓が行われる。従わなければ「愛国者ではない」と認定され、議員資格が剝奪されるだけではなく、昨年1月から今年6月までの給与や手当の全額返済も求められる。これに対し、2019年11月の区議会選挙で当局を批判して当選した約390人の民主派議員の中には、強引に忠誠を誓わされることに抵抗を感じる人が多く、相次いで辞職を表明した。

民主派政党、民主党の主席で、区議会議員でもある羅健熙(ら・けんき)氏は11日に記者会見で辞職を表明した際、給与などの返済を求める措置については理解できないとしつつも「このようなことを法廷で争うことは時間の無駄だ」とし、「議員辞職をしても地域のために仕事をし続ける」と述べて支持者に辞職への理解を求めた。

一方、同じく民主派議員の梁錦威(りょう・きんい)氏は「辞任しない」と表明した。「選挙区の有権者だけが私を辞めさせることができる」と強調し、最後まで戦うと宣言。香港メディアによると、中国の民主派運動を支援してきた梁氏は、宣誓する前に「資格なし」と認定され、議員資格を剝奪される可能性もあるという。

香港の林鄭月娥(りんてい・げつが)行政長官は12日、地元のラジオ番組に出演し「今の区議会は政府に反対し、行政スタッフを侮辱することを繰り返しており、実に遺憾だ」と述べた上で、忠誠を誓わせることを「法律に基づく措置だ」と正当化した。

台湾在住の香港の民主活動家は「昨年6月の香港国家安全維持法(国安法)施行から、香港は全く反対意見を許さない街になった。これからはさらに息苦しくなるだろう」と嘆いた。

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