朝鮮人労働者めぐる軍艦島展示に「遺憾」決議へ ユネスコ

長崎市の端島(通称・軍艦島)
長崎市の端島(通称・軍艦島)

【パリ=三井美奈】世界文化遺産「明治日本の産業革命遺産」をめぐり、16日に中国・福建省で始まる国連教育科学文化機関(ユネスコ)世界遺産委員会は、朝鮮人労働者をめぐる表示などが不十分だとして「遺憾」を決議表明する見通しになった。12日に明らかになった決議案によると、日本に対し、朝鮮人労働者の過酷な労働状況について理解を深める措置をとるよう改めて求める構えだ。

「明治日本の産業革命遺産」をめぐっては2015年の世界遺産登録時、韓国が、長崎市の端島(はしま)炭坑(通称・軍艦島)で「多くの朝鮮人が強制連行で犠牲になった」と反発。日本は「犠牲者を記憶にとどめる対応措置をとる」と表明し、昨年、東京に「産業遺産情報センター」が設立された。

しかし、決議案は「決定は完全に実施されていない」として、産業遺産情報センター設置では不十分との立場を示した。その上で、日本の徴用政策と「意思に反して連行され、過酷な状況で労働を強いられた多数の朝鮮人たち」について理解できるような措置をとるよう求めた。

決議案とともに提出されるユネスコ報告書は、産業遺産情報センターは世界遺産の構成資産から離れた場所にあり、歴史を示す展示に乏しいと指摘。館内にある端島住民の証言パネル展示についても、労働を強制された人はいなかったという印象を与えるものだとして、現在の内容では不十分だと評価している。

産業遺産情報センターをめぐっては、韓国が「差別的対応はなかったとの証言内容が展示に含まれている」と問題視し、強く抗議していた。