日本初の女子ボクシング五輪代表・入江聖奈「笑顔」でリングへ

オンラインでの取材を受けるボクシング女子フェザー級代表の入江聖奈選手=21日
オンラインでの取材を受けるボクシング女子フェザー級代表の入江聖奈選手=21日

開幕まで、あと10日となった東京五輪に、日本女子として初めての種目に挑む選手がいる。ボクシング女子フェザー級、入江聖奈(せな)(20)。相手と拳を交える競技でモットーとするのは「笑顔」だという。新型コロナウイルス禍の中、会場で見守る観客はいない。「本音を言えば声援の中でやりたかった」と残念な思いもにじませるが、「五輪が開催されることだけでもぜいたくなこと。試合ができる喜びをかみしめて、リングに立ちたい」と力をこめた。

女子ボクシングは、2012年のロンドン大会で正式種目となったが、全階級を通じて、これまで日本代表の出場はなかった。

平成生まれの若者が初めてボクシングに触れたのは、小学2年のとき。鳥取県米子市の実家の本棚にあったボクシング漫画「がんばれ元気」がきっかけだった。昭和50年ごろに発刊されたもので、幼くしてプロボクサーの父を亡くした主人公の堀口元気が世界チャンピオンを目指す物語。見よう見まねで、シャドーボクシングに打ち込んだ。

五輪に向け、関東大学トーナメント戦に出場したボクシング女子代表の入江聖奈=神奈川県藤沢市
五輪に向け、関東大学トーナメント戦に出場したボクシング女子代表の入江聖奈=神奈川県藤沢市

「親に隠れて部屋で練習していましたね。漫画を見ながら、ジャブを打つときは、左足が前なんだなとか」。本格的にやってみたい。両親に気持ちを打ち明け、市内で唯一だったボクシングジム「シュガーナックル」に8歳で入門した。

男性に交じり、練習を重ねた。「練習量が同じなのに、男性の方がスピードとパワーをつけていくことが受け入れられない時期もあった」。中学時代は陸上部員として全国中学駅伝にも出場。持ち前のスタミナに加え、やはり漫画から学んだという、「ボクシングのことをひたむきに考える姿勢」で食らいついた。

高校で全日本女子選手権を2連覇。日体大進学後、昨年3月のアジア・オセアニア予選で準優勝し、フライ級の並木月海(つきみ)とともに、代表切符をつかんだ。

試合では笑顔でリングに上がる姿が印象的だ。「内心はめちゃくちゃ怖い。でも、ボクシングは恐怖が相手にばれたらだめなので」。自分を奮い立たせて、鍛錬の成果をぶつける。

鳥取県からは、まだ金メダリストが一人も出ていない。

「私が届けたい」

フェザー級の1回戦は7月24日。拳闘史に新たな1ページが刻まれる日になるかもしれない。(本江希望)

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