住宅クライシス

高コスト招く無関心…マンション管理のカネ事情

業界の表と裏に精通していれば、そうした事情も理解できるが、管理組合は基本的に素人の集まり。このため、「第三者に相談して管理会社を変える、といったことが難しいタイミングで値上げを要求し、半ば強引に受け入れさせる例が目立つ」のだという。

「いいカモ」になる恐れも

委託先から管理委託費の25%値上げを求められた同市阿倍野区のマンション管理組合では、専門のコンサルタント会社「ベタープレイス」(大阪市中央区)に相談。同社がアドバイザーに入り、管理会社を変える準備を進めた。

今の委託先と交渉し、値上げ幅を5%にとどめた上で、1年だけ契約を更新。そして新たな管理会社を選ぶための猶予期間を得て、大手デベロッパー系から中小独立系まで10社に見積りを依頼し、今年6月、最終選考に残った3社のうち1社を新たに選んだ。

新たな契約金額は月々約86万円。漏れた2社の提示も約92万円と約91万円だった。前委託先の値上げ要求を黙ってのんでいた場合、支払額は月々約109万円まで膨れ上がっていた。

新たな契約の内訳をみると、法律で義務づけられているエレベーター保守点検の費用は2台で月額5万2千円。これは従来の半額以下となる。点検から部品交換までを請け負うフルメンテナンス契約は維持しつつも、業者をエレベーターの納入メーカー側から独立系に変えたことが大幅な価格抑制につながった。

ベタープレイスの廣居義高社長(51)は自らの業界経験を踏まえ、「管理委託費をめぐってはさまざまな業者の思惑が複雑に絡む」と明かす。

エレベーターで例を挙げると、メーカー側は新築マンションを建てるデベロッパー側に、格安で機器一式を納入することがある。保守点検をグループ会社に担わせ、ランニングコストで稼ぐ狙いがあり、「保守点検の業者変更を切り出せば、管理組合の支出が大幅に抑えられることがある」のだという。

エレベーターの保守点検が法律に基づく作業であることに加え、独占禁止法の観点からも、変更先の業者から純正部品の売却を求められればメーカー側は応じなければならず、「業者を変えて質が落ちることは基本的にない」と説明する。

こうしたウラ事情はほかにも存在するとされる。廣居社長は「管理組合は管理会社に関心を持つべきであり、場合によっては外部の専門家に〝セカンドオピニオン〟を依頼すべきだ。無関心を貫けば、管理会社の『いいカモ』になる恐れが高い」と警鐘を鳴らしている。(岡嶋大城)

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