住宅クライシス

高コスト招く無関心…マンション管理のカネ事情

購入した分譲マンションに住み続けるには、維持に必要な管理費を毎月支払わなければならない。共用部の光熱費はもちろんのこと、管理人の給与や設備の保守点検費用などに充てられ、管理組合から委託費を受け取った管理会社が専門業者にそれぞれ外注するのが一般的だ。プロによるサポートはありがたいが、任せっきりにはリスクも。契約更新を間近に控え、漠然とした理由で委託費の値上げを迫られる例も少なくない。豊富な知識と経験を誇る管理会社に、〝素人〟の管理組合はどう向き合えばよいのか。

突然の値上げ要求

「人件費や外注費が高騰している。管理委託費の25%値上げをお願いしたい」

大阪市阿倍野区内にある総戸数100戸の分譲マンション。管理委託契約の更新を3カ月後に控えた昨年夏ごろ、委託先の管理会社に突然求められた。

過去5年間にわたり毎月87万円余りの管理委託費を支払い、日常の業務は委託先に任せっきり。専門知識を身につけた住民は誰もいなかった。

この委託先はその後、値下げ交渉には応じた。とはいえ、厳しい財務状況を知りながら、毎月20万円超に上る追加負担を切り出してきたことへの不信感はぬぐえない。管理組合の理事長は「管理会社を変えようと考えた」と振り返る。

業界内のウラ事情

管理組合と管理会社が結ぶ管理委託契約の内容は通常、国土交通省が公表する「標準管理委託契約書」をベースに作成されている。

それによると、契約期間は1年間で、満了の3カ月前までに一方が通告すれば契約を終了できると規定。このマンションも同様のルールを採用していた。

ある大手管理会社で働く50代男性は「3カ月前ギリギリの値上げ要求は常套(じょうとう)手段だ」と明かす。

この男性によると、業界ではかつて、管理会社同士の価格競争が激しく、〝乗り換え〟を促すために相場より大幅に安い金額での受託が横行。代わりに、修繕工事や大型機器の納入といった外注の機会をビジネスチャンスと捉え、「中抜き」でトータルの採算を合わせたとされる。

現在、こうしたビジネスモデルは通用しにくい。外注先が実際に受け取る価格の相場は、かつては「ブラックボックス」だったが、今では業界の外にも漏れるようになった。さらに、管理員やメンテナンスに関わる作業員の人件費なども上昇傾向にあり、「コンプライアンス上の観点からも、乱暴な『中抜き』はできない。正面から管理委託費の値上げをお願いしなければならないケースが増えている」と話す。

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