ニュース配信「品質向上」に注力 ヤフーなどIT各社

「ヤフー」のスマートフォン用アプリケーションのアイコン
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IT各社が、配信するニュースの品質を向上させる取り組みを加速している。読者の意見を反映させる仕組みや専門家によるニュース選び、多様なニュースを読ませる最新技術など、さまざまな工夫を凝らしている。読者にじっくりと読まれる品質の高いニュースほど、広告の効果も高まる関係にあるといい、新聞社などニュースの配信元との連携を模索している。

ヤフーは6月、ニュース配信サービス「ヤフーニュース」で、「学びがある」「わかりやすい」「新しい視点」の3種類のボタンを設け、読者の反応を記事の評価につなげる仕組みを導入した。反応の多かった記事を質の高い記事として、配信料を上乗せするなどの取り組みにつなげる。ヤフーは「『いいね』ボタンだけでは、反射的に押される傾向にある。読者にいったん立ち止まってちゃんと考えるように記事を読んでもらいたい」と強調する。

ニュース配信サービスでは、人工知能(AI)が読者の好みを判断し、関心のありそうなニュースを紹介するパーソナライズ化(個別化)が進んできた。一方で、利用者は自分が信じたいニュースだけを読むようになり、昨年の米大統領選をはじめ深刻な社会分断を招く一因ともなっている。

グノシーは6月末、記事配信システムを見直し、読者に誤解を与えるような扇情的な記事や画像をAIや専門人材によって排除している。大曽根圭輔最高データ責任者は「利用者が知るべき情報と知りたい情報をバランスよく届ける必要がある」と話す。読者をあおるようなニュースは一時的にアクセス数は増えるが、中長期的なアプリの継続利用には悪影響を与えるという。質の高いニュースと一緒に表示された広告は利用者の目に留まりやすく、広告ページにアクセスし実際に商品を買うといった行動につながりやすい傾向がある。

スマートニュース(東京都渋谷区)では米国版アプリで、政治に関する記事を「最も保守的」から「最もリベラル」までの5段階の立場に応じて、表示するニュースを変えることができる。日本版では導入の予定はないが、多様な見方を届ける観点でニュースを選定しているという。

同志社大の小黒純教授は、記事の信頼性を高める取り組みを「新聞社の価値観と読者の価値観のずれが小さくなる」と評価する。

(高木克聡)