近大生「接種・予約」6割 若者の一定層、打たない選択

近畿大に開設された会場でワクチン接種を受ける学生ら=6月21日、大阪府東大阪市(永田直也撮影)
近畿大に開設された会場でワクチン接種を受ける学生ら=6月21日、大阪府東大阪市(永田直也撮影)

近畿大は、東大阪市のキャンパスで行っている新型コロナウイルスワクチンの接種について、接種済みか接種予約をした学生は約6割であることを明らかにした。一定割合の学生がワクチンを「打たない」選択をしているとみられる。接種が先行する欧米でも若者に同様の傾向があり、全体の接種率も7割を前に伸び悩みが顕著だ。接種対象が若い年齢層へとシフトするに従い、いかに多くの若者に接種を促せるかも今後の課題となりそうだ。

近大は関西の大学ではいち早く6月21日から、職場接種を開始した。近大によると、今月6日時点で学生1万5068人(接種対象学生の60・3%)が1回目の接種を済ませたか、接種の予約を行った。世耕石弘(いしひろ)・経営戦略本部長は「想定していたより高くはならないなという印象」と話す。

性別では女性の接種率が61・7%で、男性(59・6%)よりやや高い。学部別では病院実習がある薬学部(68・8%)や海外留学がある国際学部(67・8%)が平均より高めの接種率になったとしている。

副反応への不安などから接種しない若者の傾向が指摘されてきたが、実際の接種状況が明らかになるのは珍しい。国立精神・神経医療研究センター(東京)が今年2月に行った調査では男性より女性に忌避感が強かったが、近大では女性の接種が上回った。産経新聞社とFNN(フジニュースネットワーク)の合同世論調査(6月)で、18、19歳あるいは20代で接種を「受けるつもりだ」との回答は41・1%だったが、近大ではこれより多かった。

接種が早く進む各国でも、接種率(1回以上)が50%を超えると伸びが鈍い。米国では独立記念日の7月4日までに70%とした政府目標に届かなかった。米疾病対策センター(CDC)は、5月時点の傾向が続けば8月末の接種率は65歳以上の94・9%に対して18~29歳は57・5%にとどまると予測し、若者の接種促進が必要だとしている。

若者のワクチン接種について、感染症の専門家で接種にもたずさわる長崎大熱帯医学研究所の山本太郎教授は、コロナワクチンの特殊性を指摘する。一般的にワクチンは重症化を防ぐなど、接種を受けた本人が直接の受益者となることが多い。しかし無症状が多い若者にとって、コロナワクチンを接種する直接的な利益は限定的だ。一方で若者の接種は、集団免疫の確立を通して社会機能維持に貢献するという。

山本氏は「若者の接種率向上は集団免疫の確立という点でも高いものになってほしいが、それが重症化リスクの高い人々の暮らしを守る社会貢献の一翼を担っているという側面がある以上、協力してもらっていると考えるべきだ。接種率の数字だけで評価されるべきではないし、さらに接種率を高めるには、丁寧な説明が求められる」と話した。(坂本英彰、西川博明)

会員限定記事会員サービス詳細