若年層への拡大が懸念されている大麻の乱用をめぐり「使用罪」の創設が検討されている。厚生労働省の有識者検討会が議論を取りまとめた。今までなかったのが不思議なくらいだが、使用罪創設には反対論も根強い。大麻は、より強い薬物への〝入り口〟となる「ゲートウエードラッグ」ともいわれるが、なぜ異論があるのだろうか。
厚労省が6月に公表した集計によると、令和2年に大麻関連で摘発されたのは全国で5260人。4年連続で過去最多を更新した。国の薬物乱用対策推進会議は現状を「大麻乱用期」と表現する。深刻なのは若年層への拡大。大麻関連の摘発のうち30歳未満が占める割合は令和2年に66・7%に達した。中でも大阪は、昨年1年間に大阪府警が大麻取締法違反容疑で摘発した10代が114人で全国最多など、ここ10年間、全国ワースト1~3を行ったり来たりしている。
大麻取締法は免許がないのに所持したり栽培したりするのを禁じている。だが使用罪の規定はない。厳密にいうと、免許保有者の目的外は罰せられるが嗜好(しこう)目的の吸引には罰則がない。何ともねじれている感じだ。