英国や米国、日本など計21カ国は9日に発表した共同声明で、中国に批判的な香港紙、蘋果日報(アップルデイリー)が習近平体制の圧力で休刊に追い込まれたことに加え、香港でメディア規制を目的とした新法が導入される可能性があるとして強い懸念を表明した。中国や香港当局が加えた自由な言論への弾圧に対し、国際社会が連携を示した形だ。
共同声明は日米英のほか、フランス、ドイツ、オーストラリア、カナダなどが「報道の自由連合」の一員として署名した。
蘋果日報が香港国家安全維持法(国安法)に基づいて当局に資産を凍結されるなどして休刊に追い込まれたことを受け、共同声明は当局が報道機関を抑圧するために国安法を利用していると指摘。当局の行為を、1984年の中英共同宣言で認められた香港の高度な自治を損なう「深刻で敵対的な措置だ」と非難した。
また、「香港でメディアの検閲が強化されている」と危機感を示した上で、中国政府の政策を批判する報道機関を排除することなどを目的とした「新たな法律が導入される可能性がある」との懸念を示した。
さらに、「報道の自由が長年にわたり、香港の成功や国際的評価を後押ししてきた」と強調し、香港の報道の自由について「香港と中国当局は完全に尊重し、維持すべきだ」と訴えた。
蘋果日報は6月24日付を最後に休刊した。民主派に寄り添う唯一の新聞だった同紙の休刊は、香港で「報道の自由」が失われ、「一国二制度」が空洞化したことを象徴するでき事となり、国際社会から非難の声が相次いでいた。(ロンドン支局 板東和正)