コロナ禍のインドに恩返し NPOがチャリティー講座 - 産経ニュース

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コロナ禍のインドに恩返し NPOがチャリティー講座

新型コロナウイルス禍で貧困に苦しむインドのハンセン病患者らに、食料を届けて支援しようとする動きが広がっている。インドに縁がある人がヨガなどを体験してもらうチャリティーイベントを開いて「恩返し」。参加者がインドに関心を持つきっかけにもなっている。現地で直接支援できるその日まで、命を救う活動は続く。

「ヨガや伝統医学を教える者として、インドに恩返しをしたい」。7月初旬、インドの伝統医学「アーユルヴェーダ」に関する講座がオンラインで開かれ、10人が受講した。講義を行ったのは神戸市東灘区のヨガインストラクター、今村幸子さん(40)。冒頭で瞑想(めいそう)すると、参加した男性は「1、2分でリラックスできた。伝統医学をもっと知りたくなった」と笑顔を見せた。

講座はインドのハンセン病患者とその家族が暮らすコロニー(集落)に食料を届けるためのチャリティーイベントで、愛知県のNPO法人わぴねすが企画した。受講者は、コロニーでの4人家族の1週間分の食費に相当する700円以上をクラウドファンディングに寄付する。目標は1400世帯への食料支援で、今村さんのほかにも、ヨガやインド料理などの講師が理念に賛同し、6講座を開設。

ハンセン病は現在では治療できる病だが、インドでは今も新規感染者が多く、根強い差別がある。このため患者だけでなく、感染していない配偶者や子供、孫までもが約800カ所のコロニーで暮らしているとされる。

インドで感染が急拡大した新型コロナに伴う都市封鎖もコロニーを直撃。多くの人が収入源とする三輪タクシーの仕事がなくなり、物乞いもできなくなった。現地の住民は「イモご飯や塩ご飯、水だけで過ごす日々」という苦境ぶりだ。

大学生のメンバーらが長期休暇にコロニーを訪ね、住民の就労支援などに尽力してきたが、コロナの影響もあって昨年2月以降はインドへの渡航を自粛している。

わぴねすの酒井美和代表(26)は「私たちが本来目指すのは差別をなくすための活動。物を与える支援に抵抗感もあるが、住民の命が危ない」。支援を模索する中、インドに縁がある講師らによるチャリティー講座開催の申し出があったという。

支援の輪は少しずつ広がっている。「また会いに行く日まで、今必要な支援を届けたい」と酒井さんは前を向いた。


※ハンセン病

ノルウェーの医師ハンセンが発見した「癩(らい)菌」による感染症。末梢神経がまひし、皮膚などに症状が出る恐れがあるが感染力は弱く、多くの人には自然の免疫がある。日本では明治時代から患者の隔離政策がとられ、昭和6年には強制的に療養所に入所させる「癩予防法」が成立。薬の開発で治療法が確立されてからも差別は続き、平成8年に法律は廃止された。



収入減、市民団体も苦境

新型コロナウイルスの感染拡大で、途上国支援にあたる市民団体は活動の見直しを迫られている。国際協力機構(JICA)が非政府組織(NGO)や大学、自治体から採択する「草の根技術協力事業」の今年度の事業計画約250件のうち、約半数は開始ができず、事業期間の延長などで対応している。

関西NGO協議会がまとめた報告書によると、全国のNGO147団体のうち、84団体が令和2年度の収入が「減少する」と回答(昨年10月時点)。また海外で開発・緊急人道事業を行う125団体のうち6割が、海外事業の全部または一部を停止していた。

一方、コロナ禍で途上国支援への関心は高まっている。2年度のJICAへの相談件数は前年度比約3倍に急増。担当者は「交流や人材育成のためには現地へ赴くことが重要だが、往来が正常化するまでは遠隔サポートを強化する必要がある」と話す。

JICAは今年中にも、現在21カ国に置くNGO―JICAジャパンデスクの駐在員を増員し、新たに6カ国程度開設する予定だ。海外渡航の制約が当面続くとみられる中、情報収集や現地団体との連携調整を担い、市民団体を支援する。(石川有紀)