【深層リポート】札幌市の4人負傷ヒグマ騒動 生息域変化 人との共生に課題(1/2ページ) - 産経ニュース

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深層リポート

札幌市の4人負傷ヒグマ騒動 生息域変化 人との共生に課題

駆除したヒグマを確認する猟友会関係者ら=6月18日、札幌市東区(坂本隆浩撮影)
駆除したヒグマを確認する猟友会関係者ら=6月18日、札幌市東区(坂本隆浩撮影)

ヒグマに襲われて男女4人が負傷―。6月18日に札幌市で発生した騒動は道民に大きな衝撃を与えた。道内の都市部でも山に近い場所では目撃報告があるが、クマの生息エリアから離れた住宅街に出没するのは極めてまれだ。専門家は、頭数増加や生息地と人里との緩衝地帯の縮小、人間を怖がらない「新世代ベアーズ」の出現などを指摘する。

交尾期の軋轢避け

札幌市の騒動は中心部から約3キロの東区の住宅街で起きた。6月18日未明に目撃、通報され、断続的に近隣住民など4人を襲い、約8時間後に地元猟友会に駆除された。その後の市の調べで体長約1・6メートル、体重約160キロ、推定年齢4、5歳の雄と判明している。

ヒグマの生態に詳しい道立総合研究機構の間野勉専門研究主幹は「今はちょうど交尾期。優位の雄が雌を探して広く動き回るため、(このクマが)軋轢(あつれき)を避けて(生息エリアを)離れたことが一つの要因では」と推測する。

追跡でパニック

道は昭和41年から春グマ駆除を行っていたが、保護政策への転換で平成2年に廃止。その後の調査で24年時点の推定頭数は少なくとも3900頭、最大1万7300頭とされ、今も増加傾向にあると言われている。

札幌市環境局は、市内のヒグマ出没について「山に近い中央区や南区では目撃情報が多いが、今回出没した東区周辺は平野部。ヒグマのすみかとなる場所はなく、これまでも目撃情報は全くなかった」と生息エリアから離れた市街地への侵入に驚く。

ヒグマは警戒心の強い動物だが、間野氏は「冒険心の強い若い個体もいる」と指摘する。今回のケースでも何らかの要因で都市部に近づき、市街地に入り込んだところを見つかり、追跡を受けてパニック状態になったとみている。「初めて入り込んだ住宅街で、初めて見た人間を自己防衛的に襲った可能性がある」という。