東証新基準 ガバナンス順守の担保が課題

東京証券取引所の外観
東京証券取引所の外観

東京証券取引所の市場再編に向けた新市場区分の1次判定結果では、1部上場企業の3割超が最上位であるプライム市場の上場基準を満たさなかった。基準未達の企業は今後、持ち合い株解消など資本施策を急ぐとみられる。一方、プライム市場はより厳しいガバナンス基準が企業に求められるが、上場にあたり基準順守の厳密な審査はされないため、ガバナンスの実効性をどう担保するかが課題となりそうだ。

プライム市場を目指す企業が特に重視している基準が流通株時価総額だ。というのも、東証の市場再編に伴い東証株価指数(TOPIX)も見直され、流通株時価総額100億円未満の企業はTOPIX除外の対象となるためだ。

除外となれば、指数連動の上場投資信託(ETF)や投資信託の買い入れ対象外となり、個社の株価にも影響する。それだけに、未達企業はこの基準を満たすべく、大株主に株式を売り出してもらったりして流通株を増やすことなどで流通株時価総額を高める動きが相次ぐとみられる。

一方でこうした基準が未達であっても、既存の1部企業は、改善計画を提出すれば当面の間、プライム市場で上場を維持できる経過措置がある。そのため「社員採用や資金調達への影響を考えれば、1部企業のほとんどはプライム市場に移行する見通しだ」(SMBC日興証券の伊藤桂一チーフクオンツアナリスト)。

プライム市場に上場する企業に対し、東証は外部取締役の割合や気候変動対応など厳しいガバナンス基準の順守を求めてはいるが、その順守状況を上場の審査対象にしていない。基準を達成していなくても、その理由を説明できれば問題はないとしている。

とはいえ、一部株主への圧力問題が表面化した東芝や、鉄道車両向け空調設備で不正検査が明らかになった三菱電機など、ガバナンス上の課題が浮き彫りになった企業も今回、プライム市場の上場基準を満たしていると判定されており、こうした企業がスムーズに上場できる状況には疑問も指摘される。外部取締役を増やした企業の不祥事も珍しくない昨今、表面的な基準達成を優先する仕組みを見直す必要もありそうだ。(西村利也)

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