話の肖像画

デザイナー・コシノジュンコ(81)(9)21歳、背伸びして銀座に出店

店にはいろいろな面白い人が来ましたよ。油彩画家の金子國義さんや永六輔さん、銀座のクラブのママ…。流行に敏感で、すてきな人が来てくれましたね。

出店時は21歳と、とても若かった。実は学生とは名乗らずに1歳、年をごまかして学校は卒業したことにしていました。年齢を言うと、信用してもらえない気がしていたのです。ばかにされないように、背伸びをしていました。

大人っぽく見えると思って、目も悪くないのに眼鏡をかけてみたり。すると、小松ストアーの会長さんが店の見回りに来たときに「ベビーギャングちゃん、元気?」といって頭をなでてくるの。孫みたいに思われていたのね。「早く25歳になりたい」。そう思っていました。

初めての店では、やっぱり失敗することもありました。何しろ経験が少なかったのです。

お客さんに仮縫いをするときに、ピンで刺してしまったり。体に沿って、布を一生懸命裁断していると、その下にお客さんが着ているスリップのひもを切ってしまったことも。

今となってはどれもいい経験です。(聞き手 石橋明日佳)

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